2.死亡時

では早速ですが、実際に死亡した際に踏むべき理想的な手順を、過去の死亡時の状況を覚えていないという方のために、大まかなイメージ例も交えつつシミュレートしていきたいと思います。


 まずは死亡時、個人差はありますが大抵の場合かなりの衝撃が貴方を襲います。おそらく死亡した直後は置かれた状況を把握できず記憶も混濁とし、中には一種の錯乱状態に陥る方もいらっしゃるでしょう。

 その感覚を何かに例えるならば、夢から覚めた直後に突然初めてのスカイダイビングをさせられている(図3)ような感覚とでもいえるかもしれません。

 しかしながらそのようなご経験のある方はいらっしゃらないでしょうし、もしいるとすればその方はもうすでに死んでおられるはずです。

 感覚を文字でお伝えすることは大変難しいのですが、ただそれほどの未体験の衝撃が貴方に降りかかるのだということをあらかじめご覚悟下さい。


 その後、衝撃が徐々に治まり貴方は少しずつ自分自身のことや周囲の状況、今までの感覚との違いに気付かれるかと思います。

 この感覚の違いですが、先ほど挙げた例よりさらにイメージし難くなるかとは思いますが・・・皆様、ご自分が薄く色の付いた風(図4)のようになったとご想像いただけるでしょうか。

 風といってもその実態は空気です。空気とは複数の気体の混合物、すなわち元素から成っています。貴方は実体を無くして産まれる前の元素のような状態に戻り、何にも触れず、見ず、話さず、唯一感じることが出来るのは2つだけ。貴方がまだ「貴方」であるという特有の色を残していること、そして生前の世界で言うところの「第六感」「霊感」のみが備わっているということです。


 こちらに関しては元々霊感が鋭くない方にとっては少々理解の遠くなる部分かとは思いますが、視力が良い人と悪い人で見えているものが異なるように、感覚とは人それぞれ鋭さに違いがあります。

 例えば、なんとなく「この場所に居たくないなぁ」と思う時、貴方は自然とその場の暗さや汚さ、寒さ、匂い等を感じているかと思います。またすでにこの時点で、それを気に留める人とあまり気に留めない人というように、その場に対する感じ方には多少の個人差も出てきているかと思います。

 しかしここからさらに感覚の鋭い人は、五感を使わずともその場をそうさせている原因が「何か」までもを、すぐに感知することが出来るのです。


 少し話が逸れましたが、つまりは貴方が死んだあと風のように漂うことになる世界は、もうすでに五感や物質がものをいっていた生前の世界とは異なります。

 どちらかと言えば音波や電波に近いものを用いて他と干渉をはかる、皆様が現在いらっしゃる世界とは薄皮一枚隔てた別次元とお考えください。


 では突如としてこの様な未経験の世界にトリップしてしまった場合、人によってどの程度反応に違いが出るのでしょうか。まずは良い例です。

 死亡した後、多少の混乱はありつつもすぐに前回死んだ時のことを思い出し、早い段階で自然と順応していく方。このような方は無駄に生前の世界に拘ろうとはせず、最短でご自分にとって必要な次のステップへ進むことが出来ます。

 一方、自分が死んだことに気付けない、あるいは気付いていても喪失感や恐怖からそれを受け入れることが出来ない方。このような方は残念ながら元いた世界にしがみ付こうと意固地になってしまうケースが多いです。

 これは結果的にご自身だけではなく、元気に生命活動を行っている他の方へまで悪影響を及ぼす行為となりますので、出来得る限りの注意と対策が必要です。


 ただ、今そうお伝えしたところで実際問題、自分が後者のようにならないためには具体的にどういった点に気を付けなければならないのか、また個々に設けられた次のステップとは、そもそもいったいなんなのかということが大変重要であり、その辺りは未だピンときていないという方が殆どではないかと思います。

・・・という訳で、それらの具体的な仕組みと対応策について、次章からさらに詳しくご説明させて頂きますのでお付き合い下さい。

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