Dカップ美少女JKひなぎく~気弱な僕が変態ポニテセーラーに天性し、片想いの櫻庭心さんと……だめだっ

いすみ 静江

D1 Dカップ美少女JK降誕!

 ざわわ……。

  ざわわ……。

 ざわわ……。

 ねっ葱坊主が、春の日差しを一杯に浴びて、揺らめいていたっけ。

 ぼっ僕の名は、羽衣はごろもひなた。

 名前が、ひっ日向だからって、こんな所にいる訳ではないよ。

 ぼっ僕は、藤宮ふじみや中の後輩達に蹴り込まれて、くっ雲の行方を眺めていた。


「はあ……」


 いっ痛い。かっ身体中が痛いよ……!

 容赦なくボコボコにしたな、奴ら。

 石和いしわ森田もりた高階たかはし、わっ忘れないからな。

 痛くて、泣きたいんですけど。

 これで、オトモダチだって、うっ嘘だろうよ。


 ◇◇◇


 そして、これが、初めての『羽衣天性はごろもてんせい! Dカップアップロード』だったんだ。

 僕におかしな奇跡が起こったんだよ。

 ――シュキュイィーン!

 葱畑の中、突然、ピンクの光にくるくると包まれ始めたんだ。

 そして、どこからともなく、天啓が、『声』と言う形でやって来たんだ。


『羽衣天性! Dカップアップロード!』


 左手をかざし、そう声にしながら、次第に、僕は、かっこいい女の子になって行った……!

 黒髪がしゅるるんと伸びて、上でポニーテールになった。

 キャシューン。

 上下靴下まで真っ白で、青いラインのあるセーラー服を纏ったぞ。

 シュキャーン。

 谷間が……。

 おっおっぱいは、ぼいんな母さんに似ましたね……。

 目のやり場がないぜい。

 僕に、ビリビリと闘志がみなぎった。

 僕は、僕は……。

 いっ苛められっぱなしではないぞ!


『ワタシは、Dカップ美少女JKひな……』


 「ひなた」は、良くないな、うん。

 僕だとバレてしまう。

 花だ、かっ可愛い花の名前……。

 直ぐに玄関脇の指定席、デイジーを思い出した。

 デイジー、つまりは、可憐な雛菊ひなぎくの事だよ。


『Dカップ美少女JKひなぎく! 見参!』


 高く跳び、空からたたっと降り立った。

 直ぐ様、足を高く上げた。


『はあああああああ!』


「ぎゃあ! 変なJK、出て来たよ! パンツ見えて……」


 いっ石和の悲鳴を僕の足が、ロックオンした。


『Dカップキック!』


 バキッ。

 おっぱい、ぷるるんだ。


「いってえ」


 両サイドの森田と高階に、僕の腕を後ろへ引いて。


『Dカップパンチ!』


 バシッ。

 おっぱいめっ、ぷるんぷるんだ。


「ふぐお。おい、『Dカップ』、何するんだよ」


『ワタシの名前は、Dカップ美少女JKひなぎくよ。何するんだって、これは仕返しよ』


 僕は、おっ乙女語になっているぞ。

 あ、女の子だからか。

 なっ何だか不思議な力がみなぎって、あんな奴ら、こてんぱんに痛めつけてやったんだった。

 だって、こんなのうっうちの父さんが母さんにする暴力に比べたら、へっ屁でもない。

 だからって、殴っちゃいけないんだけどな。

 それじゃあ、父さんと同じだ。

 僕は、よっ弱く細く生きて行く。

 それで良いと思っていたのに。


「わー、『Dカップ』から逃げろー」


 くっ蜘蛛の子を散らす様でしたよ。

 ぼっ僕は、この時に考えたんだ。

 「力」って、何だろうって。

 けっ蹴れば足は痛いし、なっ殴れば腕は痛いよ。

 やっやられた方だけでなく、やった方も痛いんだ。

 とっ父さん、どんな気持ちで、かっ母さんの顔を殴るんだ。

 顔を冷やす母さんの背中、あっあんたは見たのか……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る