さらば日常よ

僕は冴渡さわたり宗介そうすけ

ある理由から隣の家の幼なじみとDetectiveGameというアトラクション施設に遊びに出かけることになったのだが…

「遅い…もう10時半だぞ。未鳥のやつ、何をやってるんだ」

そう。待ち合わせしている幼なじみが来ていない、昨晩は9時に待ち合わせしようという話で僕はかれこれ1時間半は待たされている。

「…こういうところは昔からか。仕方ない電話でもして…ん?」

キーーーッと自転車のブレーキ音のような音が聞こえる。

「どいてぇえええええ!!」

────は?

なんだなんだ??

「そぉぉおこおおおどいてええぇええ!」

「い…っ!?」

どんがらがっしゃーん!

その衝撃音と共に僕は自転車と事故った。

「いててて……もう、どいてって言ったんだからどいてよ宗介ぇ〜……」

腰が痛むのかおさえながら、ぼやいているソイツに僕はーーーー

「不幸だ………というか僕悪くねえな!?」

痛みと衝撃で頭がこんがらがっていた。

「あははは、勢いで押し切ろうと思ったけどやっぱダメ…?ごめんごめん。」

「ごめんごめん、ですめば世の中衝突事故だらけだよ…というか遅刻だぞオマエ?」

むっと未鳥に視線を向けると。

「いっやぁ…アラームをかけたつもりなんだけど、かけてなくて、ね……えへへ、ごめんね、このお詫びはまたどこかで。ねっ!」

「はぁ……わかったわかった。なら今度咲屋さくやのケーキな。あの高いやつ。」

「ふふふ、うん、わかった!」

とにかく、時間はすぎてしまったけど、僕らは施設に向かうことにした。



場所はかわり、DetectiveGameの施設。

「わぁ、思ったより大きいんだね、体育館くらいのものを想像してたよ。」

まったくコイツは……

「あのな、おまえチラシは読んでないのか。」

そう、この施設はアトラクション施設なだけあって4つのフロアにわけられている。

《日本》フロア、《ロンドン》フロア、《鉄道》フロア、《絶海の孤島》フロアだ。

わかる人にはわかるだろうが、それぞれミステリー小説の舞台になるところでわけられている。

「へぇ〜、それでこんなに大きいんだ!あ、宗介、実は楽しみにしてた?」

「ば、ばか!そんなわけないだろ、誰がこんな幼稚な……」

未鳥をかえりみず、僕はエントランスの前まで進む。

「やっぱりここまで大きいとエントランスも巨大だな……ん?あれ?」

僕はエントランスを見渡してみると謎の点を見つけた。

「チケットを渡されたわりに係員がいないな……これは中で渡すのか?」

いざ中に入ろうとエントランスのドアに手を伸ばすと

ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ

警報のような音が鳴り響く。

「そ、宗介?変なとこ押した?」

「そんなわけないだろ、僕はまだドアしか押してないぞ…」

侵入者ヲ、排除、排除、排除シマス

と女性の声のような機械音声が聞こえた。

「な、なんだ…?なにが────」

と、後ずさりドアの前から離れたその刹那ーー

ズドドドォッ!と無数の薬きょうが散らばるとともに、床に穴があいている。

────────え?

なんだよ…これ。なんなんだよこれ。なんでアトラクションだろ。なんで銃弾が飛んでくるんだ。わけがわからない。なんなんだなんなんだなんなんだ。

「…すけ……そ…!」

わけがわからない。わからない。なんだよ。なんだよこれ。

「宗介!…宗介!!」

「ハッ…え…?」

「宗介、だ、大丈夫?怪我は!?」

「だ、大丈夫……わるい。ありがとう。」

………ふぅ。

落ち着け。まずは、落ち着け。僕の大好きなホームズはいつだって冷静に状況を判断してきたはずだ。

「なんで、こんな物騒なものが…?」

未鳥の声は震えていた。

「わからない……防犯、ってわけでもないよな。ここまでやる理由がわからない。」

その時だった。

ズズズズズ……!

僕が先程までいたドアが開いた。

「なんだ……?」

「ふふふ、ははは!素晴らしい!さすがはここに招かれたものゆえの状況判断、といったところかな。」

ドアの先からピエロの顔のようなマスクをつけた人物が出てきた。

ソイツは拍手をしながら僕らにそう言った。

「君の推理は見事なものだ。そう、これは防犯システムさ。最近は物騒でね、盗みに入る輩が少なくないんだ」

「……ねえ、宗介、この人大丈夫かな…?」

「あっはっはっ、そうだね、君のその疑問は正しいものだ河島未鳥君。そうだね、まずは自己紹介をしよう。私はランポ、江戸川と呼んでくれても構わんよ?」

「そんな怪しい風貌の江戸川乱歩がいてたまるか。……未鳥、たぶんこいつは大丈夫だとおもう。」

「うん…宗介がそう言うなら、大丈夫だよね…」

ランポと名乗った人物はくっくっく、と笑う。

「ようこそ、冴渡宗介君、河島未鳥君、私達は君たちを歓迎しよう。ここは世界の謎に満ち溢れている、退屈という二文字はここらで捨ててしまって構わない。」

ランポは右手を僕らに進めと言わんように入口に指している。

開口一番は最悪なものではあったが、中で気を取り直すとしよう。退屈だったらクレームをつけてやる。



入口に入ったランポが見送った彼らを見送る。

「ふ、ふふふははは!今度のゲームは期待できるかな。のゲームはあまりに退屈なゲームだったからなあ。せいぜい生き残ってくれよ、最高の探偵諸君。」

施設の端に小さな袋を置いていたことを思い出しそれを拾い彼は焼却炉に向かう

「君たちもこうは…なりたくないだろう?ククク、ハハハハッ!」

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DetectiveGame 四葉 @Yotsuba11081

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