第7話 学校の怪談
学校にまつわる怖い話は世の中うんざりするほど溢れかえっておりますが、私の通っていた学校も色々と噂がありました。しかしながら残念なことにトイレの花子さんにお会いしたことはありません。私が会ったのは、活発そうな男の子でした。
中学時代。私の母校は全校生徒100人ほどの小さな学校でした。放課後の委員会が終わると、委員会以外の生徒は基本帰っていて、学校全体が、昼間のそれと同じ場所とは思えないほど、とても静かなものです。
ある日の委員会の後、日直の用事を忘れていた私は、一人で教室に戻り、作業を済ませて帰ることにしました。作業が終わると、いよいよ学校に残っている生徒は私だけ。
いつも通り正門から出て、グランド横を通り過ぎるとき、誰かに呼び止められた気がしました。振り返ると、グランドを囲む土壁の塀のところに、グランド側から身を乗り出すみたいにして、ちゃんと男子生徒がこちらを見ていました。
夕陽の逆光でよく見えないけれど、後輩の子だと思って私は「ああ、○○君、ばいばい」と声をかけました。
─返事をくれない。でもそのまま私を見てる。この子、○○君じゃない。というか、こんな子うちの学校にいない。
もう一度、
「だれ?」
と聞いてみても何も言わない。よく見えないけれど笑ってるのがなんとなくわかる。
「だれなん?」
と言いながら私が近づくと、その子は塀を降りてしまったので、私は急いでグランドが見渡せる位置に立ちました。
─誰もいない。
そこそこ強めに「だれ?」と言い放ってしまったことを強く反省した瞬間でした。答えてくれなくて正解です。あれはいったい誰だったのかなんて全然知りたくありません。
そういえば、同じ頃、もう一つ不思議な出来事があったのを思い出したので、ついでに紹介しましょう。先にお話しした出来事より前だったか後だったか鮮明には覚えてないですが、放課後だったのは覚えていて。
トイレだったかどこかから教室に戻った私は、まだ教室に残っている二人に話しかけました。すると友達は、
「さっき来て、先に帰るって言うたやん」
と言うのです。友達は、確かに私が鞄を持って声をかけて帰ったと言うのですが、私は手ぶらで戻ってきて、実際私の鞄はまだ教室にあるし、帰ってなどいないのです。
危ない、危ない。ニアミス寸前でした。
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