六つ目の話 美女と野獣
美女と野獣、というのはなかなかに皮肉な話だ。
美しさに固執したために獣へと身をやつしたくせに、結局また美しさによって人間に戻った野獣。
仮にこれが、醜女と野獣であったなら。
彼は永遠に獣のままであっただろう。
そして、今。
野獣を救った美女は、獣になっていた。
醜い醜い、誰も寄り付きはしない獣。無様な、気持ちの悪い獣。
彼女もまた、美しさに固執したのだ。
嗚呼、愚かしい。
見た目の美醜で優劣を付ける、愚かな種族。
顔を長いローブで隠した魔女は、つまらなさそうに欠伸をひとつこぼした。
御伽噺狂騒曲 蒔田舞莉 @mairi03
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