紫陽花

汚れた詩

紫陽花

①後ろに広がる紫陽花。雨が降っている[右から左へパン移動、この間タイトル表示]


②女が一人。[顔だけ映ってるところからズームアウト、全体が画面に収まる]


③電車が通り過ぎる。[ここから固定](#スペース的に線路を挟んで撮れるか怪しい。その場合女を画角から外すカメラ移動(一周回すとかでも)、電車の音を入れてその後戻す)


④男が傘を女にかざしている。[カメラ微パン]女の横に投げ出された傘が現れる。[以降固定]


男「濡れてますよ」


女「いいの」


男「ブラジャー透けちゃってますよ?」[本当に透けさせなくていいです]


女「いいの」


男「でもびしょ濡れの女の子をこのまま放ってはおくわけにはいきませんよ」


女「いいの」


男「...風邪...引いちゃいますよ?」


女「いいの」


男「.....」



雨の音、行き交う電車(#撮れない場合音だけ)。長い沈黙。


⑤[二人ショット]

女「...ねぇあなた踊らない?踊りましょ」


⑥[二人膝までショット]

男「....ん、あ、えっ?!...ちょ、ちょっとまって..........ねぇ!」


⑦女が男の手を握る。そのまま走っていく[カメラパン、のち固定]


⑧投げ出される男の傘。女の傘と重なる。(可能なら⑦に被せたい)


⑨女に手を引かれ、小道を駆け抜ける。[カメラフォロー]


⑩女、笑う[カメラで手を繋いでくるくる]


⑪女と男の舞踊(笑[全体ショット]


⑫こちらに向かってくる男女[カメラローアン]


⑬男女『ハァハァ...』[カメラちょい上げ]


⑭顔を上げ見つめ合う二人。[バストショット]


⑮歩く[横から]


⑯話しながらベンチに座る。[正面膝まで]


女「....ねぇ、紫陽花って土の性質で色が変わるのよ。酸性なら青色。アルカリ性ならピンク色。君の紫陽花は何色なんだろうね」


男「僕は紫陽花なんか持ってないよ?」


女「そういうことじゃないの」


男「分からない。抽象的な話は苦手なんだ」


女「いいの、分からなくて。分からなくていいの。分からないものなのよ」


男「分からなくても、、、いいのか。。。なんだか不思議な気持ちだ。君との時間は夢なんだろうか....」


女「さあ、どうかしらね」


女「...落ち着いたわ、歩きましょ」


⑰無言。歩き。雨音。[横から]



楽器を奏でる人間。通りかかる二人、立ち止まる。[カメラ移動でそのまま]


〜演奏〜


女「映画的ね」


男「映画的だ」


kiss[マジでやらんでも顔が被さるくらいでいいです]


男「映画的だからかい?」


女「そうかもしれないわ」



〜演奏フェード〜、雨音。


暗転

明転


⑱カメラを見つめる女。


女「ねぇ...誰かが見てるの。ほら、あそこ」[女クローズアップ]


二人共カメラを見る[男が画角にぎゅっと顔を入れる]


男「...誰もいないよ」


女「いえ、確かにいるのよそこに。さっきからずっと。全ての始まりから」


[沈黙]


⑲[ここから切り返しショット]

男「分からない。君が何を言ってるのか全然分からない」


女「......この世界は映画の中の世界なの。そして役者は私たち二人だけ。寂しい物悲しい虚構の世界」


男「分からない。僕には全く想像できないことだ。でも仮に君の言うとおりだとして、こんな映画ってあるんだろうか。こんなふざけた映画が」


女「映画にワケなんているの?」


男「知らないよ、映画のことなんて。ねぇ、君のことが掴めないな。君は...君はいったい何を考えてるの?」


女「自分でも自分が何を考えてるのかなんて分からないわ。何かについて凄く考えてるのかもしれないし、もしかしたら何も考えてないのかもしれない」


男「分からない。分からないことだらけだ。けど不思議と怖くはない。なんでだろ。分からないことが心地良いんだ」


沈黙。雨音。歩き。


㉖[正面ショット膝まで]

女「雨が止んだわ」[目線上へ][手を天に向かってひらひら]


男「そうだね」[追うように目線上へ]


女「空が晴れてきたわ」


㉗[背面ヘッド、ローアンで空を入れる]

男「そうだね」


㉘[背面膝まで、出来れば㉗から役者前に動いて空、頭、膝まで連続ワンカット]


女「駅が見えたわ」[向かい合う]


男「そうだね」


女「改札に消える君、見送る私。プラットフォームから滑り出る電車。申し分ない映画の終わり方でしょ?」


男「うん、それもいいのかもしれない。確かに映画に相応しそうな幕切れだ」


軽く歩く。女先行、男が声かける


㉙[男全体ショット、離れ目で]

男「また、会えるかな?」


㉚[切り返し、男肩上]

女振り返る。


女「分からない。映画が終わるとどうなるのかしら」


男、歩いていって女の手を握る[手クローズアップ]


男「確かなことは言えないけれど、信じたいと思う。きっとまた映画が始まるって」[二人バストショット、線路側]


㉝陸橋からこちらに来る電車を撮る。ザー


終わり:)


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紫陽花 汚れた詩 @drydrops

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