第2話 変化を
「おまたせしました、アイスコーヒー二つとチーズケーキです
ごゆっくりどうぞ」
目の前におかれたチーズケーキは、芳醇な香りを漂わせ
白く美しいその肌は、まるでビーチにたたずむ天女
視覚、そして嗅覚をつたい、脳へ、心地よさの中からあふれるそれに、
エクスタシーを感じずにはいられない
「どうぞ、遠慮せず食べてください、ここのチーズケーキおいしいんですよ」
「いただきます」
2年ぶりのチーズケーキ、大好物だ
喉がうなる
口の中に入れるとその芳醇な香りは爆発し、荒々しくそしてなめらかに喉をつたう
はぁ
...
う ま す ぎ
だめだ、冷静さをたもて俺、こんな素性も知れない女の
まえで醜態をさらすな俺
深呼吸だ
「ひーひーふー」
にこやかな顔で終始みつめてくるこの女はいったいなんだ、
いきなり、違う人生とかいうし、強引だし
でも、チーズケーキはおいしいし
...
まっ、これ食べたら帰るからいいか
「たべながらでいいので、聞いてください
改めまして、
宜しくお願いします」
「えっと、上下です、このチーズケーキおいしいです」
「ですよね、私も大好きです」
「では、上下昇さん、先ほどの質問なんですけれど
違う人生を歩む覚悟はありますか」
先ほどとは違う、真剣な目
...
年齢は20歳くらいかな、白髪できれいな女の人、なんか危ない感じするんだよな
...
んっ?なんで俺の下の名前しってるの
「あの...なんで俺の名前しってるの教えてないよね」
「はい、上下さんのことはある程度調べましたので」
「じゃあ、最初から俺のこと、知っていたってことですか」
「そうですね」
そういうと、彼女は、ニコッと、笑みを浮かべた
...
「つまりどういうことですか」
「はい、私たちは、悲惨な運命をたどってきた方たちに、
人生を変える大きなチャンスをあたえ、それを手助けするものです」
「つまり、この出会いはあなたの人生を変える事のできるかもしれない
ビッグチャンスなんです」
「はぁ...俺にとって良いことってことなんですね、でも、実際何するか見当もつかないんですけど」
「もし、受けるを選ばれた際には、あなたは肉親に別れを告げなければなりません、申し訳ないのですが、これ以上は説明できません。」
深々と頭をさげ彼女はつづけた
「つまり、このお話を受けた方のみ、何をするか説明をうけることができるのです
...
yesかno 決めるのはあなた自身です」
まったくもって検討がつかない、なんなんだこれは、極端な話
生きるか、死ぬか選べって言ってるようなものじゃないのかこの話は
...
だけど...どうせ生きてたって、いいことないだろうし
いやまて、生きているってだけで幸せじゃないのか...
いやまて、今まで生きていて幸せと思ったことあるのか俺は
いやまて、そもそもこの女は信用にあたいするのか
いやまて、...
あー!!!わかっんねー
...
彼女の顔をみるとまたあの笑顔を浮かべている
「あの...もし...うけるを選んだ場合、俺の人生は、今まで俺が夢見ていたことができるんですか」
「先ほど申し上げた通り、私は手助けをする者
そして、これはあなたの人生でもっとも重要な選択であることは、間違いないでしょう、うけるか、うけないかは、あなた次第です」
「すいません、すこし考えてもいいです」
彼女は何も言わずうなずく
窓の外に目をやると、そこにはなにもかわらない、日常が流れていた
雲は流れ、木々は揺れ、サラリーマンは忙しそうにし、ベビーカーを押す母親
太陽もいつもと変わらず東へ
ほんとに何も変わらない
「明日も明後日も一年後も同じなんだろうな」
そう思わず口にでてしまった、その瞬間 答えがきまった
そうだよな
なにもかわらないのであれば、俺一人くらいぶち壊してみてもいいのかもしれない
どうせなら...
「...わかりました
俺その話うけるよ」
「やったー」
えっ、こういう人だったけか、なんか子供っぽいんですけど
しかも、照れてるんですけど
「...失礼しました
ほんとに受けるでよろしいですか」
「はい、夢見たものをつかみ取ってやります」
「わかりました。では、契約ということでよろしいですね」
「はい」
もう迷いはなかった
「では、明日、朝9時にあの公園でおまちしております
遅刻厳禁でおねがいします」
「今日じゃないの」
「申し訳ございません、いろいろとこちらでそろえるものがありますので...
失礼します」
そういうと彼女は深く頭を下げお店を出て行った
...
喫茶店をでると、いつもの景色、空気が違って感じた
家に着くと、じいちゃんが飯の準備をしていた
「あのさ、じいちゃん話があんだけど...」
「おう、なんじゃ」
いつもと変わらない、しゃがれた声
「あのさ、仕事見つかった」
「そうかそうか、よかったのー、安心した」
「でも、そこで働くためには、この家でないといけない、だから...
この食事が最後になる」
「そうか...」
じいちゃんは、少し悲しい顔をしたがすぐ笑顔に戻った
「じゃ今日はとっておきをだすとするかの、昇、ちょっとテーブルに飯運んどいてくれ」
「分かった」
「とっておきをだしてやるからなちょっと待っとれ」
裏にはに何かをとりいく後姿は悲しそうで、嬉しそうだった。
「昇、今日は祝い、これを飲むぞ」
裏にはから戻ってきたじいちゃんの手には、一リットルくらいのひょうたんが握られていた
「これはな、お前がこの家に来た時に買った酒じゃ、お前が大人になったときに一緒に飲もうとおもっとたんじゃが、まぁええじゃろ
今日は、飲むぞ」
「ハハ、そんなことしてたのかよ、俺酒つよくねーよ」
「そんなことは関係ない、男と男が盃をかわすことに意味があるんじゃ」
テーブルにつきじいちゃんがコップにそのお酒を注いでくれた。
「ほれ、乾杯じゃ昇」
「あぁ、乾杯」
カツーン
それから、俺とじいちゃんは、たくさん話した、これまでのこと、そしてこれからのこと、途中から記憶が曖昧だけど、泣いていたのを覚えてる
じいちゃん、俺頑張るよ
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