六月十八日(日)雨のち晴れ☁︎

朝は降ってた雨も、夕方には止んでいて。

今日は交差点で空を見るコースかな、と思いながら、バイトを終えて待ち合わせ場所に行ったら、図書館に行こうか、と言われた。


図書館では、空良そら先輩が、雲の図鑑を見せてくれた。

雲は大きく分けると十種類、さらに細かく分けると百種類近くあるらしい。

少し驚き。

パラパラと捲りながら解説をしてもらっていたら、どこかで見た覚えのある空の写真。

先がクルンとなっていてシュッシュッと筆で描いたみたいなたくさんの細い雲。右斜めのものと左斜めのものが重なり合っていて、二つ空があるみたいな。

これ、綺麗ですね。私、好きです、これ。

そう言うと、空良先輩は苦笑する。

巻雲けんうん二重雲にじゅううんと言うらしい。

高さの違う二層の巻雲が、地上からはこうやって、重なり合って見えるみたい。


それ、あかねも好きだったんだ。


その言葉で、思い出した。

「茜空の少女」の写真にも、これの夕方バージョンの空が広がっていたんだ。

確認してみればやっぱりそうみたいで。

よくわかったねって褒めてくれたけど、あんまり嬉しくなくて。


私も空良先輩に撮ってもらいたいです。


気付いたらそんなことを口走っていて。

空良先輩は少しだけ困ったように笑った。


いつか、ツーショット撮るんでしょ?

そのときに撮ってあげるよ。……いつになるか、わからないけど。


空良先輩のその言葉が嬉しくて。

絶対ですよって約束をした。

早くそのときが来てほしい気がして、気付いた。

空良先輩が写真を撮れるようになったら、私は用済みなんだなってことに。


……嫌だな、どうしたらいいんだろう。

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