六月十七日(土)晴れ☁︎
今日、バイト先に
思いっきり偶然だったみたいだけど、ちょっと嬉しかった。
お薦めしたオムライスは、もう少し卵が固めのほうが好きだったみたい。
あのトロッとした半熟具合が美味しいんだけどなあ……。
バイトのあとはいつも通り
お客さんがなかなか途切れなかった関係で、少し待ち合わせ時刻に遅れちゃった。
待ってくれていた空良先輩はじっと交差点を見ていて。
事情を知った今は、それが酷く寂しく思えて。
先輩! って、普段よりも明るくなるように意識した大声で、しかも耳元で呼んでみた。
空良先輩の肩が面白いくらい飛び跳ねて、少しだけ笑ってしまった。
空良先輩は苦笑していた。
お待たせしました、と言えば、バイトお疲れ様って返してくれて。
今日はなにがしたいの?
そんな問いかけに、私は、空を教えてください、と答えた。
リストにも、それは書いてある。
空良先輩の写真は空ばかりで。
だから、空の話をしていたら、写真を撮りたくならないかなって。
……共通の話題が空しかないからとかじゃない。……ごめん、やっぱりそれも理由の一つ。
実は中学生時代は、ほぼ毎日ガラケーで空、撮ってたんですよって言えば、意外だって驚かれた。
空良先輩は、空だけじゃなくて、雲も、意識して一緒に撮っていたらしい。
確かに、記憶の中にある、空良先輩の写真には、空の上を雲が泳いだり、染められたり、たまに空を覆い隠したりしていた気がする。
どうしてか、訊いてみたら、空と言えば、雲だから、と答えられてしまった。
そう、
私は、空と言えば太陽だと思います。
少しだけ強い口調で言ってしまった。
まるで茜さんを否定するような言い方に、自分が少し嫌になった。
だけど空良先輩は小さく笑うと、それもいいね、と言ってくれた。
それがすごく、寂しく感じた。
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