六月二十一日(水)晴れ☂
さっきまで
梓先輩は本当にいい人。
なにか悩んでたら、さりげなく相談に乗ってくれる。
相談してるなんて気づかないうちに、ぽろぽろ口から言葉が出てる。
不思議。
梓先輩と言えば。
たぶん、今が変わるチャンスだよって。
なにも知らない子が、先輩先輩って、尽くしてるんだから、少しだけでもいい、ちょっとだけ、進んでみないって。
それがきっかけになったみたいで。
梓先輩は、最近空良が笑うことが増えた気がするって喜んでいた。
本当だったら嬉しいな。
それはきっと、晴れな笑顔に近づいているってことだから。
二人は幼馴染だったんだって。
そして、茜さんが梓先輩と仲良くなったのがきっかけで、空良先輩と知り合ったらしい。
今日は梓先輩も入れて、時間が許す限り、三人でいろんな場所に行った。
茜さんとの記憶を何度も空良先輩が話すことは苦しい。
そのときの空良先輩の表情は、辛い。
だけど、見方を変えれば、私は、私の知らなかった空良先輩の思い出を、覗かせてもらっている、とも考えられるんだなって。
……まあ、だいぶ都合よく考えたら、だけど。
茜さんは、いつもどんな気持ちで空良先輩の近くにいたんだろう。
空良先輩に撮られていたんだろう。
もっとずっと、いたかったんだろうか。
空良先輩の、すぐ傍に。
私よりも近くにいる気がしていたけれど、茜さんは二度と空良先輩に撮られることも、写真を撮ることも、触れることもできないんだ。
茜さんがどんな思いを抱いていたとしても、それを伝えるすべもないんだ。
……ごめんなさい、茜さん。勝手に嫉妬していました。
すごく、身勝手な嫉妬。ごめんなさい。
明日は、茜さんのお墓参りに行くことになった。
空良先輩と、二人きりで。
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