六月二十九日(木)雨

昨日は途中で寝てたみたい。

朝起きたら瞼がパンパンで、髪の毛はカピカピ、顔はパリパリ。

全部涙のせい。スマホの充電、すごいことになってたし。

学校には遅刻するし。

本当についていない。


今日は放課後、空良先輩のお見舞いに行ったあと、花薫かおると近くのファミレスへ。

というのも、お昼休憩中に花薫からメッセージが届いたのだ。

今日会えないかって。

先輩のお見舞いに行くから無理って送ったら、絶対に会わないとダメだって送ってきたから、渋々。


会うなり、思いっきり抱きしめられた。

驚いていたら、やせすぎだって怒られた。

考えたら、私、ここのところご飯をまともに食べていなかった。

食べても、吐いてしまっていた。

でも、数日間でそんなに変わる物なの?


お粥を花薫が注文して、私に食べさせるというなんだか変なことになって。

ゆっくりとゆっくりと飲み込んでいたら、お粥はすっかりクーラーのせいで冷えてしまっていた。


日曜日に空良先輩のことについてメッセージを送った時点で、私がこうなってるんじゃないかって花薫にはわかったらしい。

エスパーかって突っ込んだら、小学校からの親友なめんじゃないよって言われた。

学校で飼ってた兎が死んだときとまったく同じ状況らしい、今の私。

そういえば、理科の実験で育てたモンシロチョウの幼虫が寄生虫にやられてしまったときも、同じように物が食べられなくなった気がする。

そのときも、花薫が強引に私の口にパンを押し込んできた記憶はある。……正直辛かったけど、でも、食べなきゃ私からもお別れすることになるんだよって言ってくれた花薫は、今でもすごくありがたくて。

だから、花薫は無理矢理誘ったのかな。きっとそう。

ありがとう。

おかげで今日の夕飯は、ここ最近より少しだけ、食べることができました。


空良先輩。

目が覚めたら、写真沢山取りましょうね。

私、貴方が目を覚ましたら、入部届出しますから。

そしたら、空のことも、雲のことも、写真のことも、そしてもう一つの「そら」のことも、たくさんたくさん教えてください。

ツーショットの約束も、忘れないでくださいね。

それから、一緒にどこかに出かけましょう。

今度は茜さん関係じゃなくて。

一緒に、思い出を作っていきましょう。

私は絶対、空良先輩を置いていったりしないから。ずっと待ってますから。追いかけますから。


昨日は曇りでもいい、なんて書いたけど。

やっぱり、空良先輩の、晴れな笑顔、見たいです。

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