帰国
実はボンベイを脱出してから記憶が曖昧でほとんど覚えていない。2度目のウダイプルの日々も1週間以上あったのに、散歩したことくらいしか記憶にない。実際に何もなかったのかボンベイの悪夢を引きずっていたのかはわからない。
出国日の前日に再度ボンベイに移動する。最後くらい御馳走を食べようと構えが立派なレストランに入ってランチをとることにした。海老の料理を注文する。値段は500ルピーくらいしたと思う。不思議なもので出国間近になるとインドの物価は頭から外れ日本円で考察するようになる。約3000円だ。日本でもちょっとした贅沢だけれど、最後なんだからこれくらいいいだろう。料理が運ばれてきた。カレーやナンや焼きそば(簡易中華)には飽き飽きしていたので、むしゃぶるようにして喰いついた。とても不味かった。僕は改めてインドの食文化の低さに思いやられる。
ボンベイから空港までどのようにして行ったのかまるで覚えていない。タクシーだろうか? 電車だろうか? 人間の記憶というのは真に不思議なものだ。ものすごく細かいところまで覚えていることもあるのに、最後の出国になると頭に靄がかかっている。デリーの空港に降り立った情景は今でも覚えているが、ボンベイの空港は全く記憶にない。新しかったのか? ボロっちかったのか?
こうして僕の1ヶ月半に渡るインド旅行は幕を閉じた。
※今の為替レートは1ルピー2.5円くらい。インド国内の物価も上がっているだろうが、為替レートは僕の旅行時の半分以下なので、その分旅行に必要な金額はあまり変わらないだろう。情報も簡単に入手できるので、僕みたいな失敗を犯す可能性も少ないと思う。ただしその分インド人もより狡猾になっているかもしれないけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます