　ボンベイで３日過ごしただけで、僕の手持ちのお金がみるみる減っていった。このペースで消費していたら出国日までお金がもたないのはあきらかだ。僕は一時ボンベイを脱出することにした。本当は少し南下してゴアに行きたかったのだが、ゴアも観光地なのでボンベイ同様物価が高いと大変なことになる。残高が心許無かったので僕はしぶしぶウダイプルに戻ることにした。

　ウダイプルでは改めて見て回る観光地もないので、ずっと湖畔を散策して過ごした。道行く人々から手を合わせて「ナマステー」と挨拶される。もちろん僕もお返しをする。挨拶っていいな、僕も日本で外国人旅行者に出会ったら「こんにちは」の挨拶をすることにしよう。

　旅行で行ってもさして面白い処ではないが、インドに永住するならばウダイプルが一番お奨めである。デリーの住民ととても同じ人種とは思えないほどみな穏やかだ。物価もボンベイと比較できないほど安い。僕は最後の砦となる日本の１万円札を１枚残して、残金のほとんどをここで使いきった。

※ウダイプルに戻らなければきっと持ち金が尽きていただろう。ボンベイはホント恐ろしい処だ。