ジョドプール 5 インドトイレ事情(閲覧注意)
さて下痢である。(のっけからスミマセン)
それもそんじょそこらの下痢ではない。かつて経験したことのないレベルの下痢である。
浅はかだった。インドをなめていた。自分の能力を過信していた。たがだが2週間で何が変わるというのか。愚か者め。やつらはうん千年もの長きに渡ってこの水は大丈夫だよとDNAの塩基配列にメッセージを書き込んでいるのだ。脈々と受け継がれた遺伝子の力なくて、インドの生水に勝負を挑むなんて身の程知らずもいいところだ。
僕は少年の家を出てからまずホテル探しをした。それなりに納得できるところを見つけたのでチェックインする。と同時にお腹がギュルギュルと鳴りだした。トイレに駆け込む。
僕が泊まったホテルは全部安宿だが、水洗と汲み取りがだいたい半々だったと思う。(スラムドッグミリオネアでスラム街の汚いトイレシーンがあるが、あそこまで汚いトイレには幸か不幸か出食わさなかった)但しどこのホテルにも紙はない。(確か空港にはあったから、立派なホテルにはあると思う)紙の代わりに洗面器かコップに水が入っていてそれを掌でぴちゃぴちゃとお尻につけて拭くのである。僕はこれに抵抗あったので、日本から持ってきたロールティッシュを使用していた。
とにかくトイレにうずくまって、もう出しきったかなと判断してトイレから出るとギュルギュルギュルである。お昼までトイレで格闘して、昼食をとるため外出する。食欲はないので昼飯はバナナだけにする。(1本1ルピーで売っている。1房6ルピーくらいだ)。食べるとすぐにお腹が暴れ出す。冷や汗がだらだら出てくる。本当は観光地巡りをしてフランスギャルを探そうとしていたのだがそんな余裕はない。ホテルに戻ってまたトイレに直行だ。
夕飯時も食欲はないのでバナナで済まそうとする。外出前に胃から大腸まで全部出し切ったと判断しているのだが、僕の判断はいつも甘い。外出したあとで、ギュルギュルギュル、ピュル、である。ピュル? 何? こんこんこん何の音? おばけのおとー、わー、と僕の精神は薄弱状態だ。急いでホテルに戻る。やっちまった。とりあえずトイレでまた30分ほどうずくまり、それからシャワー室でパンツを洗う。情けない。この年でうんこたれになってしまった。このことは墓場まで誰にも知らせず胸に閉まっておこう。
日本から持ってきた正露丸を通常の倍ペースで服用していたのだが、効果は表れてこない。その日は睡眠中に何度ももよおしトイレに急行した。1日の80%はトイレで過ごしただろう。
次の日も症状は続く。既に少し茶色がかった水しかでない。フロントでもう1泊延長する。こんなに凄い下痢は経験がない。赤痢とか思い病気だったらどうしよう。でもあの家族は大丈夫なのだから、たぶん単なる水あたりだろう。万一3日続いたら病院へ行こう。僕はそう考えてその日一日をまたホテルで過ごすことにした。相変わらず食欲はないが何も食べないのも体に良くないと思い、またバナナを求めて外出する。どうやら僕のお尻はもう僕の命令に従う気はないらしい。またピュルである。もよおしてからピュルまでおよそコンマ1秒で達する。人間の反射速度はコンマ1秒といわれる。もよおしてから脳に状況が伝達し、脳がお尻を閉めろと命令し、お尻をキュッとするのに、訓練している人でさへ合計コンマ2秒必要なのだ。もちろん僕は普段そんな訓練などしていないので、間に合うはずもなく、またパンツを汚す。不幸中の幸いだが、おもらしの実体はほとんど水状態なので、さほど匂いもしないし歩きづらくもない。冷や汗を搔きながら足早にホテルに戻る。
3日目も下痢の症状は続くがさほど苦しさはない。単にお腹が超緩い人って感じである。一応様子を見てその日も同じホテルで過ごす。気分はそんなに悪くはないので明日出発しよう。
この下痢期間でロールティッシュを使いきってしまった。明日からインド人同様に掌を使って水で拭かなくてはならない。正露丸も一気に半分減った。着替えのパンツも全部ピュルの直撃を受けた。
※正常な状態になるまで1週間以上かかった。結局病院には行かなかった。でも赤痢などの病気ではなかったみたいだ。わざわざ力説することではないけれど、旅行の際、生水にはくれぐれも用心されたし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます