インドで聞いた怖い話その3 久美子、インド人を語る
前回同様バラナシの彼から仕入れた話です。
これまでの印象として近寄ってくるインド人はみな小悪党というイメージである。なんとか金満日本人からお金をせしめてやろうと手ぐすねを引いている感じだが、決してナイフなどで無理矢理脅し取るということはない。これは宗教によるところが大きいと思われる。ヒンドゥーでは人を殺せば地獄に落ちるという教えがある。厳しい生活を強いられているからこそ来世に託す気持ちも大きくなるのだろう。銃もさほど流通していない。その点アメリカのギャングとかに比べて安心だよなと考えていた。これは旅行者の一般的な感想だと思う。彼がクミコハウスで同じような会話を数人でしていたら久美子さんが近づいてきた。
「勘違いしてはダメ。確かに多くのインド人は商道徳的に良いとは言えないけれど稼ぐために一所懸命なだけ。だけどインドにもマフィアやギャングはいるし、それは決して少なくない。やつらは人殺しなんてなんとも思っていないよ。銃だって持っている。調子こいて夜間にダウンタウンなどいったら簡単に身ぐるみ剥がされるよ。日本と違ってやつらは刑務所など入ったら人生終わるから、目撃者つぶしのためにもまず殺されるだろうね」
久美子さんは「やつら」という言葉を使ったそうだ。長年インドで暮らしているからこそそんな言葉使いができるのだろう。
この話は怖くはないが、インドに数週間滞在して警戒心が薄くなってきた時に聞いたので、とても身に堪えた。
※考えてみれば日本にだってヤクザや危険なギャングが存在する。普通に暮らしていれば彼らと遭遇する確率は低いというだけで、いつでもどこでも安心というわけではない。至極当然の話である。
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