デリー 1 街並みと交通事情
なにはともあれデリーに到着である。デリーは二つのブロックに分かれている。片方は道路が舗装されていていくらか山の手の雰囲気を醸し出している。といっても日本の田舎の小さな地方都市くらいのイメージかな。ショップの店構えもいくらかこじゃれていて値段も高そうだ。有名なブランド(シャネルだかエルメスだか)の店もあった。ニューデリーとデリーの境目なのだろう。ただ道路は車とタクシーとリクシャーとバイクがごったがえしていて危険この上ない。交通ルールなどないに等しい。みんな好き勝手に走らせている感じだ。信号もない。あるかもしれないがそこらの交差点レベルではない。街中では1回も見なかった。もしかしたら譲り合うという概念がないのかもしれない。当然危険なので速度はせいぜい出しても30km/hだ。非効率としか言いようがない。交通規則を守らないせいでみんなが余計に損していることに気づかないのであろう。歩行者が道路を渡るのも必死である。
もう一方のデリーはもう戦後の闇市そのままという感じだ。道路の幅は広いところでも3mほど、舗装などなくじゃり道である。道路にそって定食屋、煙草屋、絨毯屋、服屋、サリー屋、そんなこんながびっしりと並んでいて、それぞれの店もトタン板で造られた掘立小屋だ。合間にチャイ(喉が痛いほど甘いミルクティー)やプーリー(甘辛いドーナツみたいなもの)やフルーツ屋(バナナ・ヤシの実などを売っている)の屋台がある。50年代のアメ横がこんな感じだったかもしれない。そして人に混じって野良牛がのしのしと歩いている。ヒンドゥー教では牛は神聖なものとされていて殺してはいけないらしい。なので牛肉の代わりにマトン(羊肉)を食べている。
デリーに到着して初めにするのは宿探しである。宿の候補として当然セレブやツアー客が利用するような立派なホテルはパスである。ユースホステルか格安ホテル(見かけは雑居ビル、10部屋~20部屋くらいしかない小さなところ)をぶらぶら探しているとインド人が近寄ってくる。どうやら観光案内をするぞと言っているらしい。宿を探している旨を伝えると(ここらへんは主に鈴木・ウインダム・仮名に応対させている)紹介するといって案内された。最初のホテルは高くてパスしもっと安宿を求めたら2度目に紹介されたところが二人で200ルピーだった。宿探しも面倒くさくなってきたのでそこに決める。案内してくれたインド人はきっとマージンを貰っていただろう。広さは8畳ほどでシングルベッドが一つ、簡易ベッドを広げて二人で泊まることにした。シャワーの水圧は弱くちょろちょろとしか水が出なかったがそれ以外で特に文句もない。天井には映画でみるような大きな扇風機の羽がゆっくりと回っている。リュックを盗まれないように自転車のチェーンでベッドに括りつけて出かけることにした。(もちろん中身は盗まれても困らないものだけである)
とりあえず食事にしようと定食屋を探す。バックパッカーがたむろしている喫茶店兼定食屋を見つけたので、そこでA定食を頼む。ウソです。たぶんマトンとライスの料理を頼んだと思う。でも定食みたいに細々したもの(酢付けのたまねぎをスライスしたものやその他)がついてくる。もちろんカレーも。ライスはタイ米に似ていて幾分黄味がかっている。油で軽く炒めてあるが失敗したチャーハンみたいでどこか湿っている。ぺちょっとしたシラス、そんな食感を想像してください。もしかしたら本当に炒め方を失敗したのかもしれない。やっぱり日本のお米はおいしいんだなぁと感慨に耽る。特別おいしくもなくそれほどまずくもない。値段はチャイ含めて30ルピーくらいだったと思う。
インド初日はとりあえずそこで引き上げホテルに戻る。どうも計画通りに進めるのは難しい。この先大丈夫かしらと不安を胸に抱えつつ就寝。
※インドではヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教・シーク教・仏教・ジャイナ教・その他が混在している。国内の割合はそれぞれ約80%・13%・2%・2%・1%・1%・1%である。ただしその割合は街それぞれで全然違う。あくまで僕の印象だがデリーに住むインド人の9割がヒンドゥーで残りがイスラムという感じだ。ちなみに頭にターバンを巻いているのはシーク教徒でそんなにいない。デリーでは一人も見なかった。タイガージェットシンの影響でインド人≒ターバンなイメージがあるが間違いである。
※インド人は毎日カレーを食べるのか? 誰しもそんな疑問を抱いたことがあるに違いない。結論から言えばイエスである。ただし日本のインド料理店のように○○カレーにナンやライスといった食べ方を毎回しているのではなく、適当な料理に添え物のスープみたいな感じで提供される。日本における味噌汁の役割に似ている。
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