空港からデリーへ 最初の試練

空港に降り立ってまずどうやって町まで行くかに悩まされる。電車など無いのである。方法は主に3つ。リムジンバスかリクシャーか白タク(呼び名忘れた)だ。白人の旅行者などはだいたいリムジンバスを利用しているみたいだ。ここで熟読した地球の歩き方の注意を思い浮かべる。インドではぼられる場合があるから注意してねと書いてあった。しかし折角インドまで来て安全な旅行をしてもしょうがない。困難上等。リムジンバスは選択指から外す。実は悩むひまもなくロビーではインド人から歓迎の挨拶で出迎えてくれる。 

話は変わるがあなたはハワイに旅行したことがあるでしょうか? 空港のロビーで観光協会のメンバーがハワイアンな格好でアローハとにこにこ挨拶しながらレイ(花輪ね)を渡してくれる。これが正しい歓迎の挨拶のあり方である。だが残念なことにインド人は正しい歓迎方法を知らない。みんな観光などしたことがないのだ。次々にインド人ががやがやとやってくる。「ナマステー」の挨拶さへない。気分は凱旋してきたオリンピック選手である。いや喩えがおかしいな。惨憺たる結果に終わったサッカー日本代表か不祥事を起こした芸能人がマスコミのマイクに責め立てられるといった具合だ。僕はもみくちゃにされて混乱してしまう。一応英語を喋っているみたいだが、焦っているのもあってさっぱり理解できない。どうやら受験英語は役に立たないらしい。そうだ。ここは鈴木(仮名)に任せよう。行け、ウインダム! 

 勇敢な鈴木はインド人と話している。僕は横から会話を聞いている。デリーまで連れて行ってくれると言う。リクシャー(バイクの後ろに2人乗りの幌をくっつけたやつ。日本の人力車が語源だという)に乗ってみたかったが、どうやら白タクタイプならしい。数人で乗り込むなら、人数割で安くなるのではないかと思い、鈴木と相談してそれに決めた。

ところでハウマッチと聞いてもインド人ははっきりと答えない。「チープ。チープ」と繰り返すのみである。なんだか厭な感じだが他のインド人も似たり寄ったりではっきりとしない。面倒くさくなったので白タクに乗り込む。ニューデリー-デリー間は思っていたよりも近く15分ほどで到着する。金額はひとり100ルピーだと言う。100ルピー! 日本のタクシーなら1メーターかそこらの距離なので2人で1200円なら日本より高い。高いと文句を言ったがペラペラまくしたてられたのと相手が運転手含めて3人組(2人は呼び込み役、車の中にも乗ってきた)だったので、ちょっとびびったすがお鈴木コンビは渋々支払うことになった。到着早々敗北である。


 ※後でわかったことだけれど、これくらいのぼられ具合はましな方らしい。インド各地で日本人旅行者に会うので情報交換も兼ねてお話するともっとぼられた話がごろごろでてくる。耳にした中で最高額は2000ルピーだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る