【草の花】
――『野の花や異動の内示伝えられ』
季語は「野の花」。「草の花」の子季語となっている。
種類を問わず、秋に咲く草花のことを指す。ニュアンスとしては名もなき花に焦点を当てている。「よくぞ咲いてくれた」といった思いが相応しい。そこから、「しみじみ、可憐、地味、はかない」という思いが湧くが、逆に「しぶとい」という印象もある。
十月に異動の内示が出た。
なまじっか色々と事業を手広くやっている会社なので、全く経験の無い事業部に飛ばされることもある。今回は本社経理から介護事業への異動だった。自分の家族を介護したことくらいはあるとは言え、それは介護とは言えないレベル。仕事として携わるとなると、知識ゼロ、経験ゼロ、やる気ゼロ(おいおい)。はっきり言って「こりゃ左遷か?」と独り言ちた。
ふと、庭に咲く草花を見た。名前もわからない秋の草花が、大なり小なり彩豊かに咲いていた。正に、今の季節の「野の花」だ。可憐だの、儚さだのが浮かぶ前に、しぶとさが頭に浮かんだ。
とりあえず異動の内示を受け入れて、やるだけやってみよう。この年から初物づくしの業界へ片足を突っ込んでも、しぶとく続けていけば何かしら得るものもあるだろう。なーんて、楽観的になった瞬間を句にしてみた。
気が付けば、正式に配属となってもうすぐ二ヶ月となる。
未だに分からない事だらけだが、取り敢えずは送迎のルートを覚えた。スクールゾーンを避けるのがマジでシンドいモーニング(笑)
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