第二編(〜2023年7月)

【ホタルブクロ】

 ――『もういいかい? 蛍袋に問いかけて もういいよとは答えてくれない』




【ひとこと】

 久しぶりに更新してみた。

 更新を止めてからは俳句や短歌への公募を捨て、短編での公募に集中しようと気持ちを切り替えた。そして今……何も変わらない。いや、少しは変った。読んでくれる人が増えた。とても喜ばしい。

 そして、今まで綴ってきた短編で学んだことなどを、改めて俳句や短歌のジャンルで活かせれば良いなと思う。それが成長というものだと、愛宕は思う。こういう気持ちにさせてくれたのは、愛宕の綴ったものを読み続けてくれたの作品のおかげだ。俳句に捧げる気持ちの深さ、季語や言葉遣いの工夫、本人は「拙い」と言ってはいるが、愛宕は「とても良い句」だと感じている。そう、この作者も俳句が好きな人なのだ。いわば、公募を通じて研鑽し合える好敵手。


 というわけで、第二章としてスタートさせた俳句書庫。

 第一回目は、やはり「ホタルブクロ」かなと。第一章の始まりも六月だったし、愛宕の好きな花でもある。拙宅の庭でも、ちょうど紫色の花が咲き始めてきた。

 そのホタルブクロに、そっと「もういいかい?」と問うてみた。欲深い愛宕は、少しでも可能性がありそうなところばかりを追いかけてきた。色々とやってみて、変化があったところへとフラフラするのが性なのだ。今は「もういいかい?」と自分自身に問うて、ここまで走って来た自分に別の進路を設けてみたい。

 しかし、ホタルブクロは答えない。「好きにすれば」と言わんばかりに、黙々とそよ風に揺られている。たくさん咲いているのに、他と違った動きを見せるホタルブクロは一つも無い。


 ――「人間は自分の人生を描く画家である」(アルフレッド・アドラー)


 あなたを作ったのはあなた。これからの人生を決めるのもあなた。と、続く。

 自分のことは自分で決める、そういうものだとは思う。別に宣言する必要も無いのだとも思う。でも、時には自分の想いを投げかけたい瞬間もあるのだ。答えてくれないとしても、言うだけ言って、自分にけじめをつけたくなることもあるのだ。


 しばらくすると、問いかけたホタルブクロから小さな蜂が出てきた。他のホタルブクロへと移ることなく、どこかへ飛んで行ってしまった――。

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