【蝉】

 ――『蜘蛛の巣に絡まる雨や蝉の声』



【ひとこと】

 今年の梅雨は長かった気がする。過去形でその長さを表現してみたが、まだ梅雨は続いている。今週あたりに梅雨明け宣言が出される見通しなので、逸る気持ちを抑えきれずに過去形にしてみた。蝉の大合唱も「ようやく」といった感じだろう。


 先月のとある日、ふと路上の植え込みを見たら、各所に蜘蛛の巣が張られていた。まるで植え込みが世帯区画されているように点々と張られている様は、なんとなく小さな世界の集合住宅にも見えた。それぞれの蜘蛛たちにも、ちゃんと営みがあるんだなぁと感じた。


 その蜘蛛の巣たちには、長雨の影響で細かな雨粒が絡まっていた。普段は蜘蛛の巣なんて気にしないで通り過ぎるのだが、雨のおかげで久しぶりに蜘蛛の巣をマジマジと見た気がする。雨上がりにしか見れない独特の姿だった。雨がやんだ気配を感じたのか、遠くで蝉の声も聞こえてきた。夏はもうすぐである――。


 毎月投稿している「俳句生活」のお題が「蝉」だったので、そんな想いを句にしてみた。今週、結果発表の日を迎えたのだが、愛宕の句は再び「今月のアドバイス」の中でピックアップされた。前回は「燕」のお題で『季語違い』の指摘だった。今回はなんと……『季重なり』だった(笑)


 ――季重なりはタブーはなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。


 という解説だった。

 はっきり言おう。愛宕は「季重なり」だったなんて気が付かなかった(笑)!

 よくよく調べてみたら「蜘蛛の巣」が季語だったようである。俳句は奥が深い。また一つ賢くなったと前向きに考える梅雨時期の愛宕であった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る