【花屑】
――『花屑を 踏めば小さな 山河あり』
【ひとこと】
さて、この句を見て何がイメージできるでしょうか?
花屑は、春の季語。
散り落ちた桜の花びらである事は、理解できる人も多いと思います。
その花屑を踏むのね……まぁ、桜の花びらが散った後の地べたは、自然と踏んづけてしまうものだわ。踏んだ事で足元を見れば山河があるって……どういう事?
というイメージになりますでしょうか。
足元で見つける事のできる山河とは、はてさて?
近くを流れる小川の端っこ? 砂場で作った山? 「小さいもの」だと中七で説明しているので、現実は山河と言えるほどの規模のものではないという想像はつくかと思います。
と、色々と想像を楽しむのも一興ですが、この句だけでは伝わるものも少ないですね。そこに、句のイメージを表現した写真を一緒に載せる事で、初めてイメージが伝わる……そんなジャンルの俳句を今年に入って発見しました。
写真俳句という世界です。
写真だけでは全てを伝えられない。俳句だけでは全てを伝えられない。でも、写真にも俳句にも、多くの情報や世界観があるものです。二つの特徴を融合させる事で、新しい解釈や意味、世界観やイメージなどが相乗効果となって表れる。一つの作品として生まれる。それが写真俳句というジャンル。
この句は、『HAIKU日本大賞2018春の写真俳句』に投句したものです。
イメージ写真はコチラで見る事ができます。
(https://haikunippon.net/prize/2018ph-sp.html *スクロール真ん中のあたり)
僭越ながら、秀逸の評をいただく事ができました。写真と句、その横に愛宕の名が恥ずかしげに掲載されております。
下五の『山河あり』は、写真で言うところの「根っこ」と「花びら」で、小さな山河の世界を出してみました。地表からボコボコと根を見せて広がる桜の木は、まるでミニチュアの山々のよう……そこに、桜の花びらが満を持してハラハラと落ち、山々の窪みを埋め河のようなイメージを成していく。ここで初めて、一つの世界観が現れるという仕組みです。
この写真を撮った当初は、俳句の事など考えておりませんでした。「なんか、根の部分を接写すれば画になるなぁ」程度。でも、後になって改めて眺めていると「俳句にできそうだぞ」という閃きが出てきました。俳句を詠んでみたけど、少しインパクトに欠ける時……そこに写真を添えてみれば、面白い発見があるかもしれません。撮り貯めた昔の写真を引っ張り出してみるのも一興です。
何事もタイミングってあると思います。
それを活かすか逃すか……ダメ元でトライしてみる意気込みが、俳句に限らず何事も大切かなと思うこの頃です (⌒-⌒)ノ
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