【ラテアート】

 ――『君の使う カップに描いた ラテアート 可愛いクマに 【好き】の吹き出し』



【ひとこと】

 第十一回 平成相聞歌(メールで恋の歌を)に投句したもの。

 相聞歌とは、雑歌・挽歌と共に『万葉集』の三大部立を構成する要素の一つ。当初は、家族や友人など広い範囲の人々を対象とした私情を交わす歌として用いられてきたが、『万葉集』では転じて男女間の恋愛を詠んだ作品集がまとめられている。


 ――あなたの恋をうたって下さい。


 このフレーズが目に止まった。大いにうたおうじゃないか!

 恋の歌は色々ある。大人っぽい艶のある恋を詠んだり、片想いの切ない気持ちを詠んだもの。花や自然に例えて、相手のイメージを模した句もあったりする。

 相聞歌と聞くと、難しい漢字や堅苦しい言い回しなどを使って表現した方が良いのかなとも思ったが、相聞歌の前に『平成』という冠が付いているからには、少しポップと言うか軽い感じで詠んでみても面白いかなと……そこで、愛宕がメインに用意したのはラテアートだった。


 今のラテアートって凄いと思う。立体的に仕上げる時代なのだ。3Dラテアートとも言われ、腕に覚えのあるカフェ店員が競ってインスタ映え確実なアートを展開してくれる。


 可愛らしいクマのラテアートは、その姿を見るだけで気持ちがほっこりとする。そんなクマの脇にさり気なく「好き」なんて吹き出しがあったりしたら、もう飲むのも勿体なく感じてドキドキが止まらない。



 ―― (*ノ▽ノ)キャー!



 こんな感じか? そう、こんな感じだ。

 上五(今回は六文字だが)の『君の使う』というところに、好きな相手への特別感を出してみた。色々なシチュエーションが浮かぶだろうと期待して……同時に数人のラテを提供する中に、好きな君へ対する特別な悪戯かサプライズ。もしくは、二人きりの空間でラテアートの練習中に放りこんでみた告白……みたいな。他にも妄想は止まらない。


 そのイメージを汲み取っていただけたようで、この句が特別賞(香川短期大学賞)に選ばれた。愛宕の名が入選の中に見えると、やっぱりテンションが上がるものだ。短期大学賞なので、短大生=女子大生に評価してもらえたんだなと素直に解釈している。非常に嬉しい☆


 この公募の結果発表は、二月の連休中だった。前回の「狸寝入り」の句も含めて、二月の愛宕は色々と当たり月だったようだ。インフルエンザも含めて(笑)



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