第47話

 こんなに大勢の人間、いや神様にいっぺんに名前をコールされるなんて、満更悪い気分でもない。おれはそのまま理子にマイクを手渡す。

 「理子です。神様のために一生懸命演奏します」

 ―リーコ!リーコ!

 「善太です。正直怖いけど、やるっきゃないす」

 ―ゼンタ!ゼンタ!

 とにかく神様たちは首の勾玉をカラカラと鳴らし、手を叩き、夢中になっておれ達の名前を呼んだ。ものすごい熱気だった。そしてゼンタコールはそのまま

 ―ギルモアヘッド!ギルモアヘッド!

 に変わっていった。オトタチがどよめきの中、俺に耳打ちする。オトタチの吐息がすぐそこまで感じられて落ち着かない。

 「ねえ、タケオ君、今度はここで演奏してよ。神様たちの士気も上がるから」

 「え、ここで?」

 「うん!まあ、善ちゃんは倉庫の中で叩いてもらうことになるけど、タケオ君と理子ちゃんはこの渡り廊下を行ったり来たりして弾けばきっと盛り上がるよお!」

 言うが早いかオトタチは高床倉庫へ入ってすぐにマイクスタンドを2本持って戻ってきた。クロとシロはいつの間にか渡り廊下の下で寝そべっている。

 もう、こうなったら逆にやるしかないだろう。おれは気持ちを切り替えて2人に向かって言った。

 「“激昂擊男”やるぞ!」

 理子も善太も無言で頷いた。善太は倉庫に入り、おれと理子はそれぞれの楽器を構え、マイクの前に立った。

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