第42話

 「じゃあ、ボリュームのツマミをあげて、2人とも弾いてみて。上げすぎに注意してね」

 おれと理子はオトタチに言われるがままに半分ほどツマミをひねり、弦を爪弾いた。


 ギュギュワワーギュエワオ!


 途端に大きく開いたクロとシロの口から大音量でノイズが鳴り響き、その衝撃でおれたちは皆よろめき、倒れ込むところだった。

 「びっくりしたー!びっくりしたー!」

 おれは本日2度目のびっくりしたー!を口に出した。

 「どう、すごいでしょ。この子達は最高のPAアンプなんだから。あとはちゃんとマイクもあるから安心して」

 オトタチは満面の笑みで、さもうれしそうにおれたちに言った。おれはどういう仕組みでこうなるのかとも思ったが、聞いてもきっと要領を得ないと思ったのでやめた。そこで俺は別の質問をオトタチに向けた。

 「う、うん。すごいね・・・。これならウッドストックでもやれそうだよ。それにしてもどこまで音は大きくなるのかな?これ全開にしたら」

 「あっ、ダメダメ!そんなことしたらきっと鼓膜が破れちゃうよ!下手したらこの建物が崩れるかも・・・ちょっと待って」

 オトタチはそう言っておれたちに自制を促し、別の壁をとんと叩いた。すると、今度は30センチ四方程の板が外れ、耳栓が4セット、チューナその他の細々としたグッズがそこに入っていた。

 「これは中つ国から調達したやつだよ。じゃあ、早速リハーサル始めようよ」

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