第41話
「お兄ちゃん、これすごく弾きやすいよ。どんな音がするのかな!あれ?でもこれピックアップもシールドジャックもないけど・・・ボリュームとトーンのツマミだけだ。オトタチさん、どうやって音出すのこれ」
理子が不思議そうに言った。確かにおれのベースも同様にピックアップとシールドジャックが無い。というか、そもそもこの部屋にはアンプがない。オトタチはクロとシロをアンプ呼ばわりしたが、どうすりゃいいんだ。
「それで大丈夫でーす。今教えてあげるよ。ちなみにみんなの楽器はそれぞれ名前が付いてるんだよ。理子ちゃんのギターはアメノサギリ。タケオ君のはアメノクラド。そしてここにあるすごいドラムセットはアメノサヅチ。全部高天の原の木と金属を使って、高天の原の名職人、カヌチアマツマラとイシコリドメが丹精込めて作ったの。世界にそれぞれ二つとない楽器よ。さ、じゃあ、音鳴らしてみようか。3人ともこれを手に持って」
そう言うとオトタチはどこからかクルミのような実を六つ取り出した。それぞれ二つずつをおれたち3人に渡すと
「みんな、これを一つずつシロとクロにあげて」
とおれたちを促した。どうなるのだろう。
神の国の常識は、おれたちの非常識だ。なら、神の常識に従う他ないだろう。おれたちはもう完全に成り行きまかせにするしかないのだ。言われるがまま、おれたちギルモアヘッド3人はクロとシロにそれぞれ実を与えた。
警戒することなくクロもシロも素直に実を飲み込んだ。彼らにとってはゴマ粒みたいな実がどう作用するのだろう?
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