第43話
スタン!スタン!ドゥルドゥドド・ドゥルドゥドド・どっどたどどた・ドンタンドンタン
アメノサヅチに収まった善太が軽くウォーミングアップを始める。
「タケちゃん、あんま凄すぎて、俺使いこなせないかもよ」
そう言いながらも善太は子気味良いビートを刻み、小屋が震えるほどのパワフルなドラミングを続ける。
おれもそのリズムに合わせ、ンパンパ、ドィーンブキャブキャとスラップでこたえる。このベース、いやアメノクラドはずっしりとしたサウンドでおれの運指を正確に再現する。なんていい音なんだ。高音弦から、バウーンと腹に響く低音のBまで音の粒が揃っている。おれはこの楽器を一日中でも弾けそうだ。それにしてもシロとクロの口から流れ出す音は神々しいほどだった。考えてみれば当たり前だが。
理子は慎重にチューニングをしていたが、やがてザザザーというディストーション(エフェクターなしでどうやって音が濁るのかはわからないけど)の音を波立たせ、ズクズクズクズーズンズンズンとミュート気味の重量感ある五度コードを奏でた。
「おーし、じゃ始めよう。まず何やる?景気のいいのからやろうか。じゃ、『ぶっ飛ばしてボコボコ』からやろう」
間抜けなタイトルを善太に告げると、善太はうなずいてカウントを入れる。
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