第33話
「うえええっ。えろろろろ。うええっ」
なんだかとんでもない声が聞こえる。神様の国だ、何か人の見てはいけない、禁断の儀式でも行われていたらどうする?
しかしおれは何が行われているのか見たいという好奇心を抑えきれなかった。おれは、おそるおそる隙間から音のする方を覗き込んでみた。
なんと、そこにいたのは大月さん一人だった。いやオオゲツビメというべきか。
だが、おれは声をかけられなかった。彼女はどう見てもまともではなかった。というのも、床に置かれた大皿に向かってえらい勢いで吐いていたのだ。しかも、口からだけでなく、鼻や目からもだ。
「うええ。おろろろ」
そしてその吐かれたものは、みるみるうちに料理の形に整っていく。
おれは目を疑った。料理を作るって、こういうこと?と、いうことは・・・ひょっとしてさっき俺が食べたのって・・・。
恐ろしい事実が俺の頭の中を駆け巡る。しかし隙間の向こうではさらにおぞましい光景が展開されようとしていた。すっかり出来上がった料理が乗った大皿をよけると、次にオオゲツビメは木で出来たおひつを床に置いた。
おい、うそだろ。
あろうことか、オオゲツビメはその上にまたがり、鮮やかなスカートのような裳をたくし上げようとした。しかしおれはその後の展開を見るのはとうてい耐えられず、そのまま部屋を後にして、猛スピードで先ほどの中庭に面した廊下を走った。そして先程入った厠に戻り、オオゲツビメよろしく、さっき食べたものをえろろろろと全て吐いた。
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