第28話
演奏を承諾したおれたちに対して歓迎の宴が開かれることになった。
オトタチはすることがあるという。
「あとでまた会えるから、まずはしっかりお腹を満たしておいて。あと・・・タケオ君、本当にありがとう」
オトタチは微笑みを残してオモヒノカネの神様と例の扉の向こう側へと入っていった。
「ささ、みなさんはこちらへどうぞ」
タケミカヅチノミコトに誘われておれたちも部屋をあとにした。
やたら大きな館だった。長い廊下やいくつもの部屋を経て、外側に面した明るい板敷の広間におれたちは着いた。縁側の向こうには緑豊かな水田が広がっている。まるでどこかの、のんびりとした田舎に来ているようだ。本当にここは神様の国なのか。
促されて座ったおれ達の前に、それぞれ膳が置かれていた。膳には魚や米、野菜、あとはよくわからない食物が山と盛り付けられ、うまそうに湯気を立てていた。
「お腹がすいたでしょう、さあどんどん召し上がってください」
タケミカヅチはそう言うとポンポンと柏手を打った。
すると上は純白の着物で下は赤や緑や白の縦のストライプが入ったスカート、という高松塚古墳の壁画のような衣装に身を包んだ中年の女性がひとり現れた。
「こちらは私が作らせていただきました」
そういって出てきたのは事務員の大月さんだった。この人もそうだったのか!
「わたくしオオゲツビメと申します。皆様のために一生懸命ご用意させていただきました。このあともさらに料理はございます。ゆっくりとお召し上がりください」
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