第27話
「あー」
おれはかすれた声で全く意味のこもっていない『あー』を発声した。
「お兄ちゃん、私、何だかわからないけど神様たちの気持ちがひしひしと伝わってくるの。もしお兄ちゃんがやらなくても私はやるよ。それに、こんなにまでされて断る人いる?善ちゃんも引き受けるでしょ?」
そう言われた善太は
「うー」
とかすれた一声を発した。肯定なのか否定なのか、よくわからない。
何か言おうとおれは頑張ったが言葉がなかなか出てこない。オトタチがおれの方を心配そうに見ている。
その目を見たとき
「やります」
と自動的に俺は言い放っていた。
「善太もいいよな」
こうなったら善太はうなずくしかない。
「おお!ありがとうございます!神はあなたを祝福します!」
およそ古事記の神様らしくない言葉を発しながらタケミカヅチはおれの両手を握り締めた。これがオトタチだったらなあ。ふと彼女を見るとなんと涙を流しているではないか。そしてその潤んだ瞳でおれを見つめている。ああ、言ってよかった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます