第21話
「これほどの立派な神明作りの建物は中つ国にはないわ。すごいでしょ。さあ、下りて」
おれたちは言われるまま車を下りた。後ろを振り返ると数千柱の神がいつの間にかこちらを見ている。しかし無表情に、無言で。
「ここで靴を脱いで。そのまま上がっていいよ」
オトタチに言われるがまま、おれたちはおどおどしながら、ぎいときしむ正面の階段を昇った。
心地よい木の香りが漂ってくる。階段を上ると二メートル幅くらいの縁側をはさんで正面に板の間のだだっ広い部屋が現れた。、
照明がないというのに、なぜか室内は明るかった。
部屋の奥にはさらに階段が有り、その前に置かれた木製の台の上には鏡や、幣というのか、神社でよく見るひらひらした紙が飾られている。階段のすぐ脇には大きな太鼓が置かれていた。なんだか神社の儀式を行う場所みたいだ。
丸い敷物みたいなものを持った神様が後ろから現れて、おれ達3人の前に置き、さらに木製の台の前に二つ置いて退いていった。
「その円座に座って」
オトタチにそう言われておれはおずおずとあぐらをかいた。オトタチは座らずにそのまま階段の前へと進み、幣を手にした。
―たかまのはらに・・・かむづまります・・・すめらがむつ・・・かむろ・・・
突然祝詞を唱え始めたオトタチにおれたちは正直驚いた。しかし厳かな雰囲気の中でただ事の成り行きを見守るしかない。オトタチは相変わらず意味のわからない言葉を唱えている。
―あめのみかげ・・・ひのみかげと・・・かくりまして・・・やすくにと・・・たひらけく・・・
長い。いったいオトタチは何を言っているのだろうか?そしてそれが終わったとき、何が起こるのか?
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