第6話

 8月になるのをおれは一日千秋の思いで待った。しょっちゅうラインをチェックしては、連絡がないことに落胆した。かといってこちらから用もないのにメッセージを送る勇気もない。わざわざ新宿に行き、偶然を期待して花園神社のあたりをウロウロしたりもした。もちろん、オトタチには会えなかった。

「ああおれガキみたいなことしてるなあ、カッコ悪う」

 と思いながらおれは家路についた。

 しかたがないのでおれはその悶々とした気持ちをバンドで発散した。そのおかげか、新曲が8曲も完成した。理子と善太はおれの張り切りに目を見張っていた。

 そして7月の末、待望の連絡が入った。


 「こんばんは。毎日暑いね(*^_^*)練習ははかどってる?いよいよあさって出発だよ。調布駅前に午後6時半時集合。初日だけ徹夜走行になるけどゴメンネ。ではよろしく」


 おれはニヤニヤしながら何度もそのメールを確認した。午後の6時半出発というのが不思議な気がしたが、それなりの理由があるのだろう。

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