誰にでもある美味しく懐かしいあの日の思い出が、作者さんの抑えた浮つきの無い文章によって鮮やかによみがえります。語られるのは優しい母との思い出。私も母の無水の肉じゃがが好きだからすごく共感できました。ラストにピリッと聞いた山椒のような文章があるのがこの作者さんの持ち味かなと思いました。読み応えのある短編を求めている方にお勧めです。