第4話

「やっぱり一人で行く。男の恰好をすれば大丈夫だ」


 ローズはバードの眼を見ないで言う。


「髪を切ったのか? つやつやとした黒髪だったのにもったいない」


 バードはローズの髪をなでおろす。


 ぞわぞわ! なんだ? この感触は?


「俺の眼が見れないのか?」


 バードはくいとローズの顔を自分の顔に向ける。黒々とした瞳に見つめられて、声も出せなくなった。


「ハハハ……。俺には自覚はないが、お袋の家系には妖術使いの血が流れている。見つめられると、ウンと言わされてしまうというわけだ。だから、妖術使いの眼は見ては危険だ」


 バードは眼をそらして暖炉にちかづき、火をかきたてる。


「ローズ、お前はまだ一人旅には慣れていないんだろう?」


 確かにそうだ。一緒にノースウエインから逃げた一の勇者のパースが死んで、一人旅になってから1週間しかたってない。


「旅慣れるまで同行した方がいい」

「……アレンまでよ」

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