第2話
タリー村の酒場兼宿屋の2階の部屋は、男が泊まっている部屋だ。暖炉の火が消えていて寒々している。なので、男は左手で薪をくべ、火をおこす。
左利きだ!
ローズはぼんやりとそれを眺めた。
男は暖炉のそばに椅子を2つ持ってきて、ローズに座れと示す。
「飲むか?」
男は革の袋に入った飲みものをよこす。
ローズは受け取っていっきにあおった。
強いタリー酒だ。
「……おれの名前はバード、鍛冶師をしている。見習いをしてた頃、今は亡きノースウエイン国の王家に出来た剣を届けにいった。そこで、王と妃にあった。妃は今のお前とそっくりだった。金色の髪と黒髪の違いはあったが、大きな深い緑の瞳が同じだ。それに、王女は隣国のスサイン国に逃れたのち、諸国を放浪してるって噂だ」
「……そんなに噂になってるの?」
「あぁ、けっこうな噂だ。だが、王女の顔や姿は知られてないがな。……タリー酒を」
ローズは抱えていた袋を渡す。
バードはゴクリと飲む。
「俺はアレン国に納品に行くところだ。どうだ? 一緒に行くか? 酔っぱらいぐらいならいいが、パライン国の追ってなら困るだろう? 一人より二人の方が心強いだろうし、俺はそこそこ剣が使えるぜ」
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