雨待ち風

歌から出た話。今回はスキマスイッチの「雨待ち風」を。

スキマスイッチ嫌いじゃないけれど今まで、書くほどにはこなかったんだよなぁ。

「奏」とか「ボクノート」、「全力少年」あたりを推す人が多いと思う。だけどそこまでは響かなかったんだよなぁ。勿論いい曲なんだけどね!


おっさんずラブの主題歌もそういえばスキマスイッチだったっけ…あのドラマ、ヒロイン・吉田鋼太郎の演技から目が離せない。こんなの仮面ライダーゴーストの竹中直人ばりにずるいよ!


話がずれてしまった。

この曲は人から紹介されて聴いた。

同じ失恋の歌なら「マリンスノウ」の方がいいんじゃないかと言われるけれど、

私は断然、こっちを推す。それは、決別と再生の歌だからだ。


「君を失くしてから いつもの景色がよけいに色濃く映り込むから 僕は目を閉じてしまう」

「蜃気楼に溶けていく蝉達の叫び ここに生きている、とその身を削って伝えてる

僕のかすれた声も君に届けばいいのに」

という部分に寒気がした。弱さと強さが混ぜこぜになっていて、いい。

これは対になっているからこそ言葉が活きている。

スキマスイッチの本気が垣間見えた気がする。



「何も言わない入道雲 あらいざらい消し去ってすぐに

ひからびていた毎日よ 音を立てて剥がれ落ちていけ」

という部分が好きだ。


ただ「かなしい」だけに浸ってめそめそしているだけじゃなくって、夏草のように刈っても刈っても生えてくるような、「どうしようもなさ」から這い上がろうと必死にもがいている生命力が好きだ。痛みを抱えながらも立ち上がる感じが、グッとくる。


現実は辛い。そんなのはわかっている。

だから一時でも甘やかな夢の世界に浸りたくて、フィクションの世界に逃げ込んでしまう。だけど、逃げたままでも生きてはいけない。体があるから腹は減る。


何か辛いことが起こる度に、この気持ちだけを切り離して他の人に荷物のように渡すことができたらどんなにか楽なことだろうか、いつも思ってきた。今もそうだ。

だけど、できないのだ。それもまた自分自身だからだ。

自分の感情はたとえ苦しくても辛くても、悲しくなるくらいにどこまでも自分で持っていくしかないのだ。


「それでも、僕は生きていく」

という省略された言葉が聞こえるような気がするのだ。

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