天国よりも野蛮

歌から出た話。

今回は、中谷美紀の「天国よりも野蛮~wilder than heaven~」を。

MONDO GROSSOの「ラビリンス」がイイよ!ってコメントで教えて貰って聴いたら本当に良かったのだけど、私はひねくれ者なので(以下略)ごめん!


女優ソングと言えば、仲間由紀恵も篠原涼子も歌を出していた時はあった。

が、ここでは敢えて中谷美紀だ。いや寧ろ一択だ。

売野雅勇×坂本龍一の豪華タッグに負けずに歌ってるところが、

「ラビリンス」の時の満島ひかりっぽくていいかな、って今回挙げることにした。

「砂の果実」とも悩んだけど、こっちのほうが近い気がする。


役者が歌うと何がいいのか、ってPVの質が異様に跳ね上がる。

透き通った声と、少年のような少女のような格好で歌う彼女を見ると

「天国よりも野蛮なのに 空の青さに泣きたくなる」という

歌詞の世界の退廃がぐっと濃厚に感じるのだ。


歌も好きなのだけど、中谷美紀の叫ぶ表情が狂気と正気を孕んだワイルドさが

野生の肉食獣みたいで、とても綺麗だ。


「微笑った君を抱きしめると 気が触れそうな気持ちになる」

不安定なものは、どうしてこんなに綺麗に見えるのだろう。

だらしなくて、猥雑なものはどうしてこんなに透明感と相性がいいのだろう。

揺らぎと退廃と背徳は、とても相性がいいのだ。


あの頃とはもう違うのに、「今」の色彩は

世紀末を気にしていた、「あの頃」に似てきている気がしてならない。


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