section2 Malie's origin〜変わり者の魔法使い part4

 魔法の実技の方も、お母さんとの特訓のお陰である程度出来ていた状況から始まりました。

 実技の方は姉さんも精を出して頑張っていて、順当にメキメキと力を伸ばしていました。

 ロミアも私や姉さんに負けじとものすごく頑張っていました。

 私もロミアには抜かされないように、また姉さんの背中を追い越せるように、一生懸命努力していました。


 ですが……新しい魔法を覚えるまでにはえらい時間が、2人よりかかっていました。


 私達の世界の魔法にはいくつか種類があります。まずは攻撃魔法。この世界では、火、水、氷、雷、風、土、光、闇、それぞれの属性の魔法があります。また、回復魔法もあります。さらに、補助魔法。大きく分けて、異常系、弱体系、強化系の3つがあります。お父さんは魔法使いというのは、攻撃魔法と補助魔法をそれぞれ何個を魔物との実践レベルで使えるようになってようやく1人前である、と考えていました。


 私はいくら頑張っても補助魔法をうまく使えることができなかったり、新しい属性の魔法を覚えたり上達させたりというのがみんなより遅かったりして、お父さんに結構怒られていました。


 例えば、魔法の実技の講習の時。この時は、素早さ上昇の魔法を自分にかけた後丸太10本分の長さの道を走って、魔法をかける前とかけたあとでどれ位時間に差があるで魔法の習熟具合を見る、という事をしていました。


 姉さんは、その才能を遺憾無く発揮し、


「おおーりゃーーー!!」


 普通に走っても速いの魔法を使うとさらに1.1倍速かったです。

 ロミアも結構頑張っていて、だいたい姉さんと同じくらいタイムが縮まっていました。

 しかし、私は、


「はあ……はあ……」

「おいおいマリー。ほとんど変わってないじゃないか」

「すみません……これでも頑張っていますが……」

「言い訳はするな。態度で示せ。」

「はい……」


 こんな感じで、あまり魔法の効果が目に見える形で現れず、伸び悩んでいました。


「ファイア系とかフリーズ系は高いレベルで出来るんだけど、どうして新しい魔法を覚えられないかな……攻撃魔法はまだマシだが、補助ができないなら1人前になれないぞ……」


 こういうお父さんの呟きを聞くと、どうして私はダメなんだろう、といつも思い悩んでいました。


 でも、こういう日の午後には、私は1人になって、魔法の練習をしていました。


 型通りではない、自分がやりたいと思う魔法の。


 先ほどのお父さんの発言を振り返ると、前半でしっかり「ファイア系とかフリーズ系は高いレベルでできる」と言ってたように、私は私で出来ることはしっかりあるんです。例えば最初にファイア系の魔法の練習をしていましたし、その次にはフリーズ系を練習していたのですが、そういうもう既にイメージが掴めた魔法は、きちんと使えるのです。それこそ塾のトップクラスです。自惚うぬぼれじゃないですよ!?

 しかも、私は放出させた魔力を自在に操ることが出来るのです。圧縮させたり、一気に弾けさせたり。練習していたのはそういう魔法でした。

 この魔力操作をどう使うかというと、まずは、


「ストームマジック・プチファイア!!」


 魔力を5発分一気に圧縮して、同じ魔法を5連続で放つ。これが、「ストームマジック」


 もう一つは、


「スプレッドマジック・プチフリーズ!!」


 これまた圧縮させた魔力を今度は複数の的にめがけて拡散させる。これが、「スプレッドマジック」


 こんな風に自分で考えていろんなふうに魔法を使うのって、とっても楽しかったのです。いつかお父さんやお母さんに見せて、驚かせたい。いつかの披露会のように。


 そう、思っていたら、その日は突然やってきました。ほとんど偶発的で、私の望んでいなかった形で。




 その日も、私達は普通に魔法の講義を受けていました。


「そして、自身に元々素質として埋まってる能力がある。これに相当する技も既に整理されている。まあ、俺達魔法使いが使うのはだいたい『強化魔法』か『デュアルキャスト』、そして『ゾーンブースター』か『ミスティック』……」


 私はいつも通り話を真面目に聞いて、姉さんは相変わらずうたた寝をしていました。

 が、突然爆音が鳴り響き、


「敵襲だよ!ゼロ・ブラスフェイムが攻めてきたんだ!」


 近くに住んでいたイルミナちゃんのお母さんがそのように叫ぶと、お父さんはすぐに私達の避難を誘導しました。


「お父さん達で何とかするから 、みんなは近くの森の茂みで隠れててな。」


 そういうことで、私たちはお父さんの指示に従って隠れていました。


「一気に畳み掛けるぞ!この村を制圧だ!!」


 指揮官と思われるその人物は肌の色が緑色で、肩や額から角が生えていて、私達普通の人間に比べ異彩を放っていました。


「そうはさせん!!」


 しかし、侵略者の集団の前にお父さんが立ち塞がりました。


「お前……誰だ」


 その指揮官はお父さんに名を尋ねました。が、お父さんは毅然とした態度で返していました。


「名を聞く前にお前から名乗るのが礼儀というものじゃないのかい?」

「お前みたいなやつに名乗る必要はねえと思ってたが…まあ名乗ってやるよ。俺はゼロブラスフェイム幹部、アッシュだ。お前は?」

「この村の魔道士、マホロアだ。」

「俺達の前に立ちふさがるということは何を意味しているのかわかっているのか?」

「ああ分かってるさ。元よりお前達を倒す目的でここに立っているからな!」


 お父さんは杖を構えました。それが開戦の合図でした。

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