section2 Malie's origin〜変わり者の魔法使い part3

あの魔法の披露会から数年がたった後、ついにお父さんは全ての汎用的な魔法を効果的に教える方法の確立させる研究を終えました。そして、いよいよ魔法塾を始めることにしました。


 まずは近所に住んでいる私達と同年代で、魔法使いになりたいと思っている子供たちを募りました。研究所の隣に少し大きめの小屋を建てて、そこでお父さんは魔法の授業を始めました。


 私達姉妹は元々軽くお母さんから魔法についてのいろいろを習っていたことから、他の子供たちよりその分先行していました。が、お父さんはそれを前提とせず、私たちにも1から勉強し直すように、としました。まあ、そのおかげで、小さい子供用のざっくりとした知識よりもさらに細かく、詳しく魔法について知ることが出来ました。

 私はこんな感じで、ロミアも私と同じくらい真面目にお父さんの話を聞いていました。が、ステファニー姉さんはそうは行かなく……例えば、魔力の使い方についての講義の時は、


「この世界における魔力はほぼ全員の中に宿り、使い方さえわかってしまえばどんな風にも使うことができる。ただし、体に蓄えておける魔力には限度があり、使いすぎると枯渇してしまう。魔力の使い道は大きく分けて三つある。一つは、魔法道具に魔力を込めて使うこと。しかしだいたい80年前位から機械文明が発達して、魔力の運用能力にとらわれず使える機械の方をだんだんと使うようになった……っておいステファニー!」

「いた!なんだい父さん!チョークなんか投げてきて!」

「父さんじゃない先生と呼べ……それに寝てるやつを起こして何が悪い!!」

「ごめんごめん」


 ステファニー姉さんがアハハと笑うと周りのみんなも一緒にクスクスと笑いました。だいたいお父さんはここで、


「はーい切り替えて授業に戻ろうかー」


 とみんなを静かにさせ、授業を続けていました。ステファニー姉さんは座学が嫌いで、いつも退屈そうにしていました。でもテストでは結構な点数をとっていました。なんででしょうか。


 塾と言っても二、三時間くらいで終わってました。なので結構自由時間も多かったです。この頃も私達姉妹は一緒にいることは多かったですが、それぞれに同年代の友達ももちろんいました。


 例えばロミアには、イルミナちゃんという、青色の髪のポニーテールが特徴のお淑やかな女の子の友達がいました。イルミナちゃんは元々家が近かったというのもありましたし、ロミアと歳も一緒だったので、魔法塾ができる前にもよく一緒に遊んでいたようです。お父さんが魔法塾を始める、となった時にロミアがイルミナちゃんを誘ったところ、ちょうどよくイルミナちゃんも魔法使いになりたいとの事だったので一緒に通うことになったみたいです。


 2人の仲はむつまじく、授業が終わった後はいつも一緒に遊んでました。


「ロミちゃん、今日はどうする?」

「そうだね、あっちの方の森の中に綺麗なお花畑がある、ってお姉ちゃんが言ってたな。ちょっと面白そうだから一緒にいこ、イルちゃん!」


 こんな風に2人だけでちょっと近場の森とか丘とかに出かけていくことも多々ありました。


「ロミア、決して迷子にならないようにしてね」

「うん、わかった、マリーお姉ちゃん!」


 でもロミア、結構な頻度で迷子になっていたんですよ……あはは……

 この日もそろそろ夕飯の支度ができる、という時間になってもロミアが帰って来ないので、お母さんはその大きな胸を揺らしながら食事の準備をしつつ、ロミアの事を心配して、


「ロミア……まーた迷子になって……もう何回目でしょうか」

「そのようだな、母さん。おい、ステファニー、マリー、探してきなさい。多分イルミナもいるだろうから。イルミナの両親にはお父さんから言っとく」

「はー、またかよ……一体何回迷子になったら気が済むんだいあの子は……」

「あはは、そんなこと言わずに探してあげましょう、姉さん。今日は私ロミア達が行ったと思う場所のアテがあるので。」

「信じるよ、マリー……」


 出かける時にロミアが指差した方向にあるお花畑、といえばあれしかないと私はあたりをつけていたので姉さんをそちらへ案内しました。

 近所の森に入り、道順を思い出しつつ進んで行きました。すると、ロミアとイルミナちゃんがお花畑の中心に2人で寄り添って寝っ転がっていました。


「なーんだ、お昼寝が伸びちゃってただけか……」

「あはは、ロミア、イルミナちゃん、起きて」

「んえ……うわ!お姉ちゃん!いつの間に!ってもうこんな時間!?たいへーん!!」

「ふわー……あらま、こんな時間に。マリーさんもステファニーさんまで来て……毎度うちのロミアが迷惑かけてすみません」


 イルミナちゃんが頭を下げたわけですが、


「いや、ロミアうちの妹だから。あとイルミナ、君も迷惑かけているから。」

「そういえばそうだね!」

「ロミア、お前も人の事言えない。」


 案の定二人まとめてステファニー姉さんにツッコまれました。


「多分イルミナちゃんのお母さんお父さんも心配してますよ?一緒に帰りましょ?」

「「はい!」」


 二人は声を合わせて返事をして、私達と一緒に帰りました。


 まあ、こんな感じの日常が続いていたわけですよ。

 え?魔法の実技はどうした、ですって?

 ま、待ってください。次回話します!

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