第9話:パラダイス・ラッパー
だが、オレの心配など、どこ吹く風。
バンジー先輩は、スックと立ち
上がった。
「じゃ、まぁ、童貞ボーイの
歓迎も込めて………!」
一気に場が盛り上がった。
巨乳ダンサーが腰を振って踊り
出した。
おいおい………、
何が始まるの………!?
オッパイが揺れる揺れる。
もう半分見えてるぜ。
いいのか。
オレのジャスティスは………!
もうマックス・ボルテージだ。
横にいるヤスも立ち上がり、
「テュク、テュク、テュ~🎵」
とボイパを始めた。
おい、いったい、何が始まるンだ。
「🎵よ~よ~、よく来た🎵
童貞ボ~イ🎵
みんな仲良く、ここへ来~い
🎵」
な………?これは、
ラップか………!!
そうラッパーって言うのは
ラッパを吹く人じゃなかった。
『今日から友ダ~チ🎵
みんな仲良く
未来(あす)へ旅ダ~チ🎵
これからオレのshowタイム🎵
オレの生き方、クレイジーな
ライム🎵😆🎶✨
マイク片手に、キミへ
ダ~イブ🎵
キミとだったら、ごきげんな
ラ~イブ🎵』
スッゲ~、これが、ラップか
………!!
今まで聴いた事もなかった。
アイドルソング一筋………!
ラップを聞く機会は、全くない。
オレはどっちかって言えば、
メロディアスな曲が好きだ。
もちろん上げ上げの曲も
好きなのだが、ラップはリズム
中心。
だが、そのリズムに合わせて
巨乳ダンサーの腰がグラインドを描く。
みんなヤンヤの喝采だ。
『………ケンカ上等~🎵
やるなら、ソッコ~🎵
波瀾万丈(はらんバンジョ)~
🎵
気分上々~🎵
ここに参上~🎵
目指すは頂上~~~🎵
イッエ~~~ーー🎵😆🎶✨」
女子たちも興奮している。
ハイな気分だ。
まるで酔っぱらったうな……。
こんな高揚するなんて………。
巨乳ダンサーの胸が揺れる。
オレのハートも高鳴っていく。
先輩のラップがリズムを刻む。
ダンサーの腰が怪しく蠢(うごめ)く。
『………ノイズに溢(あふ)れた
腐ったピ~プル🎵
巻き込まれて、ヤバい
トラブ~ール🎵
お願いしたいな素敵な
バイブ~ル🎵
フライデーナイトは、キミが
来~ーる🎵
サタデーナイトは、ソ~、
COOL(ク~ーール)🎵
キミに出会えた奇跡は、
ミラク~ール🎵
イエイ🎵イエ~イ🎵😆🎶✨」
それは、初めての衝撃だった。
頭がクラクラしてきた。
バンジー先輩は美女たちと
次々とハイタッチ。
ヤスともタッチした。
「よ~、さっすが、バンジー先輩。」
オレは、ノドがカラカラになっていた。
「今のは………。」
絞り出すように発した声は掠れていた。
「ラップだよ。」
「知らね~のか。先輩はラッパーじゃ、ちょっとは有名なんだぜ。
」ヤス。
知らないよ………。
ラップなんかマジで聴いた事
ないんだ。
「さ、次は、童貞ボーイの番だ。
」
思いっきりタッチをされた。
パチーンと乾いた音が響く。
マジか………?
何とも言えない痛みが手に
残った。
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