11th 旅路の出会い

昨日は諸事情により更新できませんでした......

申し訳ありません。

明日も更新ないかもしれないです。

明日更新なかったら火曜日です。

そのあとは通常運行に戻ります。

ほんっとうに申し訳ないです......

それでは、11話です。

どうぞ!


- - - - -


「よし。おーい、ノアー!」


「なぁにー?クレハちゃん」


少し遠くにいたノアが駆け寄ってくる。


「そろそろ出発するよ」


「わかった!準備してくるね!」


ノアが生まれてから10日程経った。

俺とノアはとりあえず、転生してきた直後にも見た馬鹿でかい樹......“世界樹”を目指していた。

[アカシックレコード]によれば、あの“世界樹”とやらは創世された時から存在しているらしくて、樹齢は数千万年に及ぶんだとか。

そこまでいくと神性が宿るようで、その周辺は聖域しているらしい。

で、そこなら定住するにも住みやすいんじゃないかな、ってことでそこを目指している。

ノアのこともこの10日間でだいぶわかった。

まず、多重人格とかが生じてることはないみたい。

それと、どうやらノアの記憶は混濁していたのではなくて、完全になくなっているらしい。

そのせいもあってか、ノアの精神年齢はかなり幼くなっている。

多分、二桁まで行ってない。

8歳か、9歳か。

下手したら、6歳くらいかもしれない。

でも、それにしては魔物とかと相対した時に妙に落ち着いてるようにも思える。

これは、魔導書の擬似人格が影響してるんだと思う。

察するに、3つの人格(内1つは擬似人格)を無作為に削って繋げたんだろうな。

だから、微妙に歪になっている。

今のノアは、少しでも何かがあったら崩れてしまいそうな程に、絶妙なバランスの上に成り立っているように見える。

1つの想定外......魔導書の擬似人格。

これが、想像以上に影響を及ぼしている。

まぁ、体に馴染んでいけば、少しずつ整形されていくだろう。

今は経過をしっかり見ていく以外に、できることはないかな。


「クレハちゃん?どうしたの〜?」


っと。

考え込みすぎたか。


「いや、なんでもないよ。準備は終わった?」


「うん、終わったよ!」


ついでに言うと、ノアはかなり従者としての能力が高い。

料理とか、その他の家事とかね。

最初は、任せっきりもどうかと思って俺も見てたんだけど。

もうね、手際の良い事この上なし。

伊達や酔狂でメイド服を着てるわけじゃないんだなぁ、と。

それに、ノアが使える魔術が従者向けだったのも大きい。

洗濯だったり、体を綺麗にしたりと万能すぎる。

まさに一家に1ノアって感じ。

ついでに、俺がそう言うことをしようとすると、涙ながらに「私の仕事取らないでっ!」って言われたから以来任せっきりにしてる。

っと、またもや思考の渦に溺れかけてるな。

もう1人じゃないんだから、気をつけないとな。


「さて、それじゃあ行こうか」


「は〜い、しゅっぱ〜つ!」



* * * * *


「ねぇ、クレハちゃん。あれってな〜に?」


ノアが右前方を指さしながら聞いて来たのは、野営をした場所を出てから6時間、昼食を摂ってからは1時間ほど経った頃だった。

ノアの指の先を辿ってみると、黒い天使のような翼が背中にある女性が倒れている。

ふむ、この気配からして......


「あれは、多分だけど、高位の悪魔じゃないかな?」


「ふ〜ん、さすがクレハちゃんは物知りだねっ!でも、高位の悪魔って何〜?」


「あぁ、わからなかったか。高位の悪魔ってのは.....ん?高位の、あく、ま......ってえぇー!?」


かなりのどかな時間が流れてたからそのまま流しそうになったけどさ。

あれ、高位悪魔じゃん!

しかも、感じる気配からしてだいぶ序列高そうだし!


「んゅ?どうしたの?クレハちゃん」


「......ちょ、ちょっとここで待っててね?」


「? うん、わかったよー」


全力疾走で悪魔の元に向かう。


「すいません、聞こえてますか?」


「......み、水を、水を寄越すのじゃ」


......のじゃっ娘?

まぁいいや。


「水をあげるのはいいんですけど、こっちに危害を加えたりってしませんよね?」


「も、もちろんじゃ。だ、だから、早く水を寄越すのじゃぁ......」


考えてみたら、何かして来たらそれはそれで適当に叩けばいいのか。

それじゃあ、あげよ。


「〈νερό水よ〉」


魔導術で水を生み出し、それをのじゃっ娘の口元へ。

すると、水の匂いを嗅ぎ取ったのか大口を開けて一遍に頬張った。

いや、口大きすぎじゃない?

7,8cmくらいあったはずなんだけどなぁ......


「美味なのじゃ!よし、お主、食べ物も寄越すのじゃ」


こいつ......


「いえ、持ってませんよ?見てわかりません?」


「持ってないなら何か狩ってくるのじゃ!そんなこともわからないのじゃ?」


横暴だなぁ。


「わかりませんよ。ってか俺を見てそんなこと言ってるのならとんだ阿保ですね」


だってそうじゃん。

転生前ですら「女子より華奢」って言われてた俺が小さくなってさらに女子になってんだから弱そうに決まってるじゃん。

そんな弱そうな幼女に狩りしてこいって......ねぇ?


「なっ、我を愚弄するか貴様っ!?」


しかもなんか単細胞バカっぽいし。

めんどくさいな......

まぁ、なんとか穏便に済ませれたらいいな・・・くらいの感じで行こう。


「いえいえ、愚弄なんてそんな」


「む、そうか。では早う食べ物を持って参れ」


しつこいなぁ。


「いや、だから無理だって言ってるじゃないですか」


「はぁ......もういいのじゃ」


諦めてくれたのかな?

溜息をつきたいのはこっちだけど。


「ほう......」


なんかめちゃくちゃジロジロ見られてるんだけど、何これ。


「アンスロポスの小さき女子というのは美味であると聞いたことがあるのじゃ。というわけで、お主を食ろうてやるのじゃ!」


言いながら飛びかかってくるのじゃっ娘。

うわ、そう来ちゃうか〜。

ってかそもそも俺ってアンスロポス、つまり人間じゃあないんだけどね。

まぁ、何はともあれ。


「そんなこと、させるわけないけどねっ!」


カウンターで思いっきりぶん殴る。

鬼っていうのは、元来身体能力の高い種族だし、成長速度も人間とは比べ物にならないくらい早いからね〜。

これくらいの力技はできるようになるのさ、12,3日もあれば。

暇を見つけては筋トレしてたし。

今は、多分倒立腕立てくらいならできると思う。

っと、そんなことよりも。

見事に飛んで行ったのじゃっ娘はどうなったかな。


「けへっ、負けないのじゃー!」


おぉ、タフネスだな。

変な笑いが漏れてるから限界は近いと思うけど。

でも、近接戦闘は下手だね。

また飛びかかってくるなんて。


「っしょっと!」


今度は上に打ち上げる。


「ふっ!」


で、落ちて来たところに頭へ浴びせ蹴り。

背中から落ちないように、蹴り抜いた直後に右手をついて体を押し上げて立ち上がる。


「ったぁ!」


その勢いを殺さずに前宙、そのまま両足を出してドロップキックを食らわせた。

蹴りの反動を使ってバク宙気味に着地、同時に前方に飛んだのじゃっ娘を追うように駆ける。


「はっ!」


追いついた直後、のじゃっ娘の頭を太腿で挟みこんで、フランケンシュタイナーに近い動きで頭から突き刺す。


「げふっ......ぐぅ......」


「あっ」


やばい、やりすぎちゃった。

死んでないよね?

首折れてたりしないよね!?


「はぁ、はぁ......素晴ら、しい、の、じゃあ〜!」


うおっ、生きてた!

てか急に立ち上がった!

タフネスすぎるだろ......

で、何が素晴らしいんだろうか。

ん?

なんか目がハートになってるような......

あ、いやな予感。


「結婚するのじゃ、我が主人あるじよっ!」


「......はぁ?」


え?

本格的に意味がわからないぞ?

助けて、シクエモ......いや、やめておこう。

そ、それでシクレ、一体どういうことかわかる?


《そうですね、恐らくは......この悪魔が救いようのない“ドM”なのではないかと》


おぉ......


『つまり、一時的な感情の高ぶりだと?』


《いえ、この手の輩は一度味わったものを忘れることはないでしょう》


『ど、どうしたら......』


《なんとも言えませんね。頑張ってください、マスター。応援しております》


ほあっ!?

し、シクレー!?

......う、嘘だろ。

見捨てられた......

くっ、頑張るしか、ないのか。


「まぁ、落ち着いて。ほら、俺たちってまだ出会ってから1分も経ったかどうかくらいだよ?お互いにお互いの事知らなさすぎるしさ、ね?」


「うむ、それもそうなのじゃ。」


およ、案外素直に。


「配下に40の軍団を持つ偉大なる大悪魔にして大公爵アスタロトとは我のことじゃ!ルシファー、ベルゼビュートに並ぶ地獄の支配者なのじゃ!」


かなりの大物だなぁ〜。

あれだよね、アスタロトといえば“ソロモン72柱”の中でも序列29番目のやつだよね。

いや、ここは異世界だから違うのかもしれないけど。

でも、さっき言ってたことからして大筋に違いはないだろうし。

参ったなぁ、アスタロトがドMだったなんて。

ここら辺は異世界故だろうなぁ。

女性であるところとか、醜いどころかむしろ容姿端麗なところとか。


「はぁ......そもそもさ、俺たち女同士だし結婚って無理じゃない?」


今ばかりはこの性別にも感謝だな。


「む、それもそうなのじゃ。.....しょうがないから、“魂の契り”で我慢するのじゃ」


......はっ?

え?

ちょっ、おまっ。

えっ?


「さらに硬い契りになってない?我慢も何も」


「いいのじゃ。主従の魂の契りを結ぶのじゃ。もちろん主人が主なのじゃ」


えぇ......


「それでいいのか、悪魔公爵」


「いいのじゃ!さっきのは我の生の中で最も強烈で、味わったことのない複雑な痛みだったのじゃ!」


いや、それが理由ですかね。

ぬあぁぁ、もうめんどくせーや!


「いいよ、もう。結ぶなら結ぼうよ!魂の契り!」


こうなりゃやけっぱちだ。


「なぬ!? いいのじゃ?ありがとうなのじゃ!」


あぁ、なんかもう、取り返しのつかないことを。

ま、いいんだけどさ。


「それじゃあさっさと契るのじゃ。“我らはこれより魂にて契約す。これは死して尚切れぬ。我は従”」


っと、俺がいう番か。


「“我は主。この繋がりは永遠に”」


すると、俺とアスタロトから光が出てきて交わり、それぞれの半分ずつがお互いに入って行った。


「よし、これで終わりじゃ」


「はぁ、わざわざ最上の契りで結んだのか」


そう、俺の言葉通り、今回の契りは魂の契りの中でも最も重いもの。

互いの魂のごく一部を分け合うことにより成立させる契りだった。

転生前に「何に使うんだよこれ!」とか思ってたんだけどさ。

まさか、やることになるとはねー。


「当たり前なのじゃ!我はそれくらい主人のことが気に入ったのじゃ!」


なんとも自分勝手な。


「はぁ、まぁいいや。それじゃあ、これからよろしく、アスタロト」


「もちろんなのじゃ!......あ、最低でも1日に一回は殴って欲しいのじゃ」


えっ。


「ま、まぁ。考えておくよ」


その後、ノアと合流し、事情を説明。

旅路に戻るのだった。










- - - - - - - - - -

はい、遅刻も遅刻、大遅刻です。

本来の投稿予定日は12/23でした。

それがどうしたことでしょう、日付を見れば12/25じゃないですか!

......はぁ。

ところで皆さん、予定はありますか?

今日。

え?

ない?

でしょうね(嘲笑)

僕ですか?

......な、ないわけないじゃないですかー、やだなーもー。

とまぁ、茶番は置いといて。

いかがでしたでしょうか!

レギュラーキャラ3人目の、アスタロトさんです!

ドM悪魔さんです!

ちなみにですが、彼女、すっごいつおいです。

本編では紅羽に容易くあしらわれてますけどね。

一応、東京都くらいなら火の海にできる力は持ってるんですよ?

本当ですからね。

容姿は、18~21歳くらいの純情な感じです。

日本にいればスカウト間違いなしの逸材ですよ!

......紅羽ちゃんには劣りますがね。


っというわけで、次回の更新は明日......?

今日?

どっちでもいいか。

とりあえず、12/25です!

お楽しみに!


“クリスマスに用事のない小説書きは12/24~12/25にかけて1時間おきに投稿する”とかいう超文化の存在を教えてくれたTwitterの僕のアカウント

→@tama_717

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