4th 嵐の前の静けさな転生2日目①
「ん......くあぁぁ......」
ベッドから降りて窓の外を見た。
うん、まだ微妙に暗いね。
て言ってもいつも通りなんだけど。
ふと、昨日という濃密な1日を思い返してみる。
......昨日だけでその辺の人の一生分を超える内容を体験したかもしれない。
特に二柱の神にあったあたり。
まぁ、あれだな。
生きてるっていいな!
《強引にまとめようとしても駄目ですよ、マスター》
うっ......
『ま、まぁいいじゃんか。実際に俺一回死んだんだし。あと、おはよう、シクレ』
《えぇ、おはようございます。マスター。ところで、まだ日が昇ってすらいませんよ》
『早すぎって?』
《えぇ、簡単に言えばそうです》
『日が登る前に起きるのはもう癖になっちゃってるからね〜。
睡眠不足にもならないから、別に大丈夫だよ』
《それならいいのですが.......ノイさんが変に思うのではないでしょうか》
『いや、それもないよ。今の俺ができる最大まで気配消してるからね』
《そうでしたか。それでは問題ないですね》
さてと、じゃあいつも通りに朝のトレーニングでもしようかな。
とは言ってもそんな専門的なものはできないんだけどね。
まずは柔軟から。
開脚して......
「ほいっ」
ありゃ?
なんかいっつもよりやりやすいような。
女子の体ってこんなに柔らかいのかな?
《えぇ、確かに平均的に女性の方が体は柔らかいと思いますが。それでも多分、マスターの体が特別柔らかいんだと思いますよ?》
あ、そうなの?
いやぁ、前は結構硬めだったからね〜。
結構ありがたいや。
じゃ、次は〜。
「ほいっと」
お〜、すごいすごい。
前より全然いくね。
そんな調子で黙々とこなしていく。
と、少ししてからシクレが(少なくとも俺的には)爆弾な発言を投下した。
《あの、マスター。ふと思いついたんですが。柔軟性に関しては向上しているかもしれませんが、筋肉量は標準レベルまで低下してるのではないでしょうか》
あぁぁ......ちょっと、それはきついかなぁ。
《そもそも体自体が変わってるので、柔軟性は生まれつきのものがあるので以前よりも、というのもありえますが、筋肉量は平均前後しかないはずです》
......ちょうど柔軟も終わったし、試しに筋トレもやってみようかな。
「ふ、ぬ、ぐぎぎ......ぶはぁ!」
腕立て伏せが、できない......
あ〜、結構悔しいね、これ。
頑張って筋トレしよう。
腕立ても膝を立ててやったら流石に上がると思うし。
はぁ、筋肉と引き換えに柔軟性を手に入れた形になったけど、喜ぶべきか悲しむべきか。
筋肉だから鍛えればまたできるってのが救いかな。
あれ?
いや、でも......
鍛え方を考えて、必要な部分だけ鍛えたら?
軽量で戦闘をこなせる体が出来上がる。
これは......!
よ〜し、頑張るぞっ!
- - - - -
《......スター、マスター。そろそろノイさんが起床しますよ》
え?
シクレに呼びかけられて気づいたけど、外がすっごい明るい。
お天道様がぺかーって。
いつの間に......
《現在の時刻は大体7時くらいです》
7時、か〜。
起きたのが、いつも通りだったとしたら4時半くらいだから......
15分くらい柔軟をしてたとしても、2時間と15分は筋トレしてたってことになるな。
そりゃ、身体中痛いわけだ。
特に腕は明日とかやばいことになりそうだなぁ。
『それで、もう少しでノイさんが起きるの?』
《はい、そうです》
『了解、ありがとう。それにしても、よくわかったね』
《取得時にマスターに負荷がかからない程度の情報ですので》
『へぇ、そうなんだ』
......あ、そうだ。
『じゃあさ、索敵とかって任せたりできる?』
《可能です。マスターのスキルである
『よし、許可します!いやー、なんだかんだで気配察知って苦手だったんだよね』
《許可ありがとうございます。では、只今より索敵を開始します。私としてもマスターにお力添えできて、光栄です》
「おぉ、これはすごいな......わかりやすいし」
思わず声に出しちゃうくらいには、ね。
《恐悦です》
視界の右上にちょうどいいサイズでゲームみたいにマップが表示されて、その中に何種類かの光点が表示されてる。
マップは拡大も縮小もサイズ変更もできるみたいだし、すごい便利。
多分この真ん中の青の光点が俺だと思う。
それで、他のは......
《赤が敵性反応、緑が善性反応で、黄色が中立反応を示します。また、動物などは白の、魔物などは黒の光点でそれぞれ表示します。その他、戦闘能力などの脅威度によって、低い順から エフェクトなし→周囲に青の渦→青の渦と放電→赤の渦→赤の渦と放電→紫の渦→紫の渦と放電 と光点の周囲に表示されます。目安としては、無しと青は取るに足らない雑魚、青放電は雑魚、赤は同等、赤放電は同等、紫は同等以上、紫放電は圧倒的格上です。とはいえ、この脅威度は数値化した能力だけを参考に表示してますので、技術などによって覆ることはありえますが》
ふむふむ。
ふむふむふむ。
......あれれ〜?
おっかしいなぁ、マップを見る限り人間の光点24個の内の23個が真っ赤なんだけど〜。
『......あれだよね、こう、サービス開始直後だからバグが発生しちゃった的なやつだよね?ね?そうだよね?』
《......い、いえ、マスター。プログラムなどでは無いのでバグなど発生のしようがありません。事実です》
......お〜。
ま、まあ?
22個の赤点がエフェクト無しで、残りの1個もただの青だしなんとかなるのかもしれないけど。
っていうか、この青エフェクトってノイさんじゃないかな?
マップの場所的にそうだと思うんだけど。
何か面倒ごと起こしそうだな、とは思ってたけどさ。
まさか存在自体が面倒ごとだったとは思いもしなかったよ。
それで、この最後の希望とでもいうべき青の光点は誰なんだろう?
この光点も青エフェクトだけど......
あっちの方だよな。
この気配の感じだと、昨日気絶寸前に見たノイさんと一緒にいた人かな?
《マスター、マスターは気配を感じるのは苦手だとおっしゃっていませんでしたか?》
『ん〜、まぁ、少なくとも得意ではないよね。ほら、今だって距離500mくらいしか離れてないけどしっかりと確信持てないからね。得意って言えるのは1kmくらい離れてても確信持てるような人たちじゃないかな?』
《そ、そうですか......その方々がクレイジーなのだと思いますけど》
そんなことないと思うけどなー。
まぁ、話を戻して。
『今日はこの最後の良心の人のところに避難しようと思うんだけどどうかな?
遊びに行くとかなんとか理由つけて』
《はい、それで大丈夫だと思いますよ。あ、マスター。ノイさんがいらっしゃいます》
ん、ほんとだ。
マップでも、俺のいる部屋に青のエフェクトの真っ赤な光点が近づいてきている。
「やぁ、クレハちゃん、おはよう。よく眠れたかな?」
ノイさんは、開口一番にそう言った。
ごく普通の挨拶だ。
でも、なぜかそれにすらも理解不能な嫌悪感を抱く。
生物の本能なのか、戦いに身を置くものの勘なのか。
何はともあれ、とりあえず警戒をしておいて間違いはなさそうだね、やっぱり。
マップの表示に間違いはなさそうだ、と溜息をひとつ。
明日あたりに面倒くさいことが起きなきゃいいけど。
「クレハちゃん?どうかしたのかな?」
っと、今は会話をするべきか。
「いえ、ごめんなさい、少しぼうっとしてて」
「ほんと〜?具合が悪かったら言ってねー。それと、もうすぐしたら朝食だから頃合いを見て食べにきてね」
朝食......いや、ノイさんって料理上手なんだよね。
昨日の夜ごはんもかなり美味しかったし。
まぁ、あれだよ。
敵かどうかと料理が美味しいかどうかは別なんだよ。
後、ほら。
俺って毒が効かない感じの体質だからさ。
《んん......マスターって色々と謎が多すぎる気がするんですけど》
『えぇ? そうかな?』
《そうですよ、種族がまずおかしいですし。スキルもおかしいですし。称号もおかしいですし。むしろおかしくない部分が見当たらないんですけど。容姿も完璧すぎておかしいですし》
ひどい言われようだな。
《質問をしてもいいですか? なにせ、マスターからはその辺の下級神よりもよっぽど強大な力を感じるので。気になりすぎてちょっと夜も眠れないんですよ。そもそも睡眠は不要なんですけど》
必要ないなら寝なくて良くない?
はぁ。
それで、えぇっと。
質問ね。
答えられない......っていうか、答えたくないのは無理って言うけど。
それでもいいなら3つくらいはいいよ。
《ありがとうございます。それじゃあ、まずは......》
さて、どんな質問が来るのやら。
実際いいよと言いはしたけど、俺はちゃんと答えられるのかね。
自分でもあんまりわからないことも結構あるし。
《何故、マスターは亡くなったのですか。見た限り、通り魔とかに殺されるような、そんな程度の力の持ち主では無いようですけど》
ふむ、死因ね。
......あれ?
そういえば、なんでなんだろう。
確かに思い切り血を吐きはしたけど、その吐血の理由がわからないな。
急性の病気とかは有り得ない。
生活もいたって健康的、食事も栄養コントロールは大体大丈夫だったはず。
何より、俺の体が病気に罹るわけがない。
俺の体は普通の人よりもよっぽど丈夫だし。
う〜む、わからん。
『ごめん、わかんないや』
《そうですか。では次の質問に移りますね》
お、なんかあっさりと。
まぁいいや。
『で、次の質問は?』
《では、何故そんな馬鹿げた力をお持ちなのですか?》
う〜ん、俺の力はそんなに馬鹿げてるかな。
っと、それはいいとして。
『そうだな〜......簡潔にいえば、俺が昔“
《......そうですか》
『いや、そんな驚きと哀れみと納得をごちゃ混ぜにしたような声色で返事されてもね〜』
それに、住めば都とはまさにその通りだと実感できたしね。
ちょっと世紀末っぽいのが玉に瑕だったけど。
《申し訳ありません、マスター。では、次の質問をしても?》
『うん、いいよ。あ、次が最後ね』
《では。マスターが、常に微笑みを絶やさず、ノイさんと話す時に敬語なのは何故ですか?》
『そうだなぁ......』
まぁ、これに関しては本当に単純。
『そっちの方がさ、印象良くない?』
《......え? それだけ、ですか》
『うん、そうだよ?あぁ、別に必ず敬語ってわけじゃなくて、例外はあるんだけど』
《例外とは?》
『大半の目上の人とか。気が向いた相手とかかな』
《......目上の人には、敬語ちゃんと使いましょうよ》
『え〜、あ〜、うん。考えとくね』
多分審査の結果として棄却されると思うけど。
っと、それはそうとして、そろそろ朝ごはん出来上がってるよね?
すっごい良い匂いしてるし。
よし、じゃあノイさんのところに行こう!
- - - - -
どうも、たまです。
無意識に予約投稿をしてしまっていたようで、一度未完成のまま垂れ流してしまいました......申し訳ありません......
また、体調不良につき前回の更新ができませんでした......
申し訳ありません。
皆さんも、気をつけていただければと思います。
今回からストックが切れて自転車操業化するので投稿時間が右往左往すると思いますが、許してくださいな。
次回の更新は12/11です!
またお会いしましょう!
何もしてないかもしれないTwitter
→ @tama_717
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