2nd 神って癖ありすぎだろ...
えっと......ここは?
確か、転生先の世界の神に引き渡すって言ってたから、ここはその転生先の神がいる場所って事なのかな?
「そうそう、そういうことだよ~。というわけで、よく来てくれたね。猫刃 紅羽ちゃん!私の名前はアリアグネ。気軽に、アリアって呼んでね!」
なんか、これまた妙に軽い神様だなぁ。
ちなみに背後を取られたことはもう気にしない。
相手が神なら何があったって不思議じゃないだろうしね。
もしかして神ってみんなこんな感じなんだろうか。
それよりも、“ちゃん”ってなんだ。
女顔だからか......?
そうなのか!?
「ん?紅羽ちゃんてば何言ってんの?紅羽ちゃんはこんなに可愛い女の子なんだからちゃん付けは最早当然でしょ?」
......まさか、またか。
「はぁ......」
思わず溜息をついた。
「これでも男」
「......えっ......えぇ、だって紅羽ちゃんってばこんなに可愛いんだよ!?なのに男なの!?え、あれ?でも
「うん。
やたらと嫌な予感はするけど。
「......あ、あの〜。いや、その予感、当たってるというか...あのね?落ち着いて聞いてほしいんだけど。一応、転生者が出た時って、その人物についての資料の提出義務が担当の神...紅羽ちゃんの場合は
え?
すっごい不穏な......
ってかどうでもいいけど神にも義務とかあるんだね。
「あぁ、うん。まぁ、
は?
うっそだろ......?
つまり、
これには俺の性別が女として記載されてる可能性が高いわけだ。
ってかほぼ確定だろうね。
最悪だ...
「あ、え〜っと、さらにもう一つお知らせが......」
んん......?
え、良い方?
それとも悪い方?
「え〜っと、最悪に分類されるものかな......少なくとも紅羽ちゃんのその様子だと......」
まじかぁ......あんま聞きたくないな。
「う......じゃ、じゃあ転生してからのお楽しみということで」
それはそれで気になるけど......
「じゃあ言ったほうがいいかな?」
あ、あぁ〜、うん。
「転生してからでいいかな。うん。」
「うん、紅羽ちゃんが良いならそれでおっけーだよ!よし、じゃあ、気持ちをリセットしてさー」
うん、確かにそうだな。
もう決まったもんはしょうがな......くはないけど。
気持ちを新たにするのも大切か。
「よしよし、じゃあ心機一転、新たな気持ちで紅羽ちゃんが臨むのはなんと!お待ちかねのチートたいむっ!はい拍手〜」
おー、ぱちぱちぱち。
って待て待て。
「チート、じゃなかったと思うけど。スキルは
「ん〜?えぇ?
へぇ、そうなんだ。
やっぱり、って感じなのは否めないけど。
「まぁいいや。じゃあね〜、紅羽ちゃんはどういうのが良い?っていても、思いっきりバランス崩しちゃうようなのはあげれないんだけどね」
そりゃあそうだ。
とは言ってもなぁ。
急に言われても困るよな〜。
「あ、そう?じゃ、私セレクトでいいかな?」
アリアセレクトか。
ま、
「うん、よろしく」
「りょうか〜い!それじゃええっとね、やっぱり
うん、この調子なら大丈夫だろ。
寧ろアリアに任せたのは正解だったかもしれない。
ここから見える景色......おそらく俺の転生先のものだとは思うが、それを観察してれば暇にもならないしね。
にしたって、何も見えないな〜。
文明滅んでたりしてね。
......今、アリアの肩が跳ねたような。
い、いや、そんなわけないよねぇ〜!
あ、あはははは......
そんなこんなで10分くらい経ったあたりでどうやら終わったみたいだ。
「よし、完成!と、言いたいところなんだけどさー。最後の一つが決まらなくて、ここは紅羽ちゃんにダーツで決めてもらおうって思って」
うん......?
ダーツの必要あるか?
まぁいいか。
「あ、その前に。とりあえず決まったやつを適用して行こー」
お、どんなのがあるのかなー。
「そんなに期待されると照れちゃうけど......まずは、王道に
「んっ......くぅ......」
......なんか変な声だしちゃったんだけど。
やばい、恥ずか死ぬ。
だってしょうがないじゃん!
急になんかが入ってきた感じで、すごい感じたこと無い感覚だったんだから!
そう、だから、しょうがないのです!
はいおしまい!
んで、入ってきたこれは......これがスキル?
にしても、全くもって違和感がないな。
まるで昔から使えるのが当たり前だったみたいな。
「それで次は、
おぉ、またあの感覚がきた。
今度は声出さなかったぞ!
えらい、俺。
「えっと、じゃあ次は〜っと。はい、こちらにダーツの的を用意しましたっ。で、これが羽だよ!」
アリアが差し出したのを受け取る。
見た目より重いな...
まぁいっか。
「で、的に投げるといいの?」
「そうそう。もう全力で投げちゃってね!全力で!」
......全力で、ね〜。
流石に俺が全力で投げたら危ないよなぁ。
ここは全力のふりでいくか。
「よし、じゃあいくよ」
「いいよ!あ、やっぱ駄目!」
ずっこけそうになった。
いや、だってさ?
あんなに自信たっぷりに“いいよ!”って言ったのに直後に駄目って......
「で、何で駄目なの?」
「あ、えーと、やり忘れたことがあって......『回れ』!」
アリアの言葉の直後、眼前の的がテレビでよく見る感じに回り始めた。
「お~......」
確かにすごいけど......どんな反応をしていいのやら。
「ありゃ?反応薄いなー。まぁいっか!っと、もう投げちゃっていいからね!全力でね!」
んじゃまぁ、なげるかー。
全力ではないけどね。
「せいっ!」
掛け声とともに放った羽は勢いよく飛んで的にしっかり命中した。
......しっかりと、ど真ん中に。
「「あっ」」
俺とアリアの声が重なった。
やらかした......
ど真ん中ってどうしたらいいんだ?
それに、こう言ったら悪いけどもアリアが無茶苦茶言う気しかしない。
「......そうだ!ど真ん中って言うのを過剰解釈して全体に当たったって事にして両方あげちゃえば良いじゃん!」
ほらね?
ってかさ、えぇっと。
それ良いの?
「良いの良いの!よし、じゃあ限界突破と、スキル合成を適用っと。はい、おっけい!」
「んっ......!あ、ふあぁ......」
「うわぁ、なんかすごい背徳感だねぇ。こんなに可愛い娘が涙目で悶えてて、尚且つその原因が私だなんてー」
あぁやばい。
かな〜り死にたい。
「しょうがないよ〜。だって、さっき適用したのよりも強力な奴だからね!」
ぐ、それなら先に言ってくれてもいいのに。
「大丈夫だよ〜。すっごい可愛かったからねっ!」
やだ、やめて。
すっごい死にたくなるから。
「そんなこと言われてもなぁ」
......まともだと思ってたけど、アリアはアリアで少し“アレ”だなぁ。
「え〜、“アレ”って何さ“アレ”って。......ん?あ、もうこんな時間か。もう少し話してたかったけど」
話したと言っても俺は大して言葉は発してないけどね。
「ま、良いの良いの。という訳で、そろそろ新しい世界に送るけれども、準備は良い?」
「うん、大丈夫」
...だと思うけど。
特に何も持ち込んでないし。
「ならおーけーだよ〜。よし、じゃあ送るよ。また会おうね!」
そう言うや否や、アリアはこっちに両手をかざして目を瞑った。
それと同時に俺の足元に魔法陣が出てきて、光り始めた。
「うん。また会おうね」
そう言うと、アリアが嬉しそうに微笑んだ。
今までと違って妙に落ち着いた、それこそ神々しさすら感じる笑みだった。
そしてその笑顔を見た瞬間、俺の視界は白に染まった。
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如何でしたでしょうか?
次回の更新は12/5です!
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