第5話「僕と私の金銭事情」

 僕はかなに連れられ、ショッピングセンターに向かっていた。

「とりあえずはファッション店に行かないと」

「でも私そんなお金ないし」

 吹雪は別に金銭的余裕がないわけでないが、入れ替わっている間はお互い予算の範囲で使うよう約束している。

 僕はファッションにお金かけるよりは、ゲームや映画にお金を使いたかったのだ。

「見るだけでもいいのよ。女の子が全くファッションに興味ないんじゃいけないわ」

 それもそうかと思う。吹雪にも一着くらいは新作の服買って置いてほしいといわれていたし。

「じゃあ、一着選んでくれるかな?私『記憶喪失』だからそういうのは分からないの」

「意外と乗り気なのね」

「女の子は自分を引き立たせたがる物だからね」

 僕は基本的に服をファストファッションで済ませていた。

 彼女は居なかったし、作る気もなかったからだ。

 そういうのは最低でもある程度進路が決まってきてからの方がいい、と僕は思っていた。

 お互いに高校二年生なので、そろそろ入試試験しないとだったし。

 もっとも、吹雪は芸能界からスカウトを受けているらしいが。

 ともかく、僕は女性服売り場に居た。

「このピンクのドレスとかどうかな?」

「派手すぎないかな?こういうホワイトのワンピースとか」

 そんな僕にかなはいった。

「案外、センスいいのね」

「別に、テレビとかでそういう特集があったから見てただけだよ」

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