第2話「僕と私の身体状況」
ともかく、僕は『僕』にこういった。
「いい?君は年頃だし、少しくらい裸とか見るのは許してあげる」
それは助かった。
僕も出来うるだけ吹雪の身体を弄るつもりはなかったが、正直好奇心に勝てるかというと嘘になった。
「その代わり、デリケートな部分はあまり弄っちゃ駄目。お互いにとって良くないし」
戻った時のことを考えれば、あんなことやこんなことをして嵌るのは避けたかった。
それに変に弄ってしまったら、吹雪にも悪いし。
とはいえ、僕はこう問いかける?
「何で絶対ダメとはいわないの?」
「身体あらう時はどうしても弄らざるを得ないからね。そういうとこは汚れも溜まりやすい」
夢がないな、と一瞬思ったがそれもそうかと考え直した。
男子にとって女子になるという体験はファンタジーかもしれないが、
僕に起こったことは現実だ。
つまり汗もかくし、トイレにだって行かなくちゃいけない。
まあ、この手の入れ替わり物は大抵トイレが問題になるので僕はこう聞いた。
「トイレはどうすればいいの?」
「そうだね。できれば多目的トイレを使って欲しい、けど逆に色々いわれそうだし女子トイレでいい」
「確かにね。急に多目的トイレを使いだしたら何いわれるか分からないし」
入れ替わり物で多目的トイレに行かないのは切羽詰まっているからだろうが、
『僕』のいい分にもかなり納得がいった。
一応僕も釘を刺して置いた。
「その身体で女子トイレとか行かないでよ?」
「流石にやらないって。変質者扱いされるし」
吹雪って妙に順応能力が高いな、と思いこう聞いた。
「もしかして前にも入れ替わったことが?」
「私には無いけど、友達に一度あってね。その時相談を受けたんだ」
さすがにこんな状況で『僕』が嘘を付くとは思わなかったので、素直に納得した。
今は多くを語らないが彼女のいっていることは正しかったようであり、
それが僕の経験において大きな助けとなったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます