第11話 イロハさんの葛藤


街の外に行く間で、イロハさんについていろいろ聞いてみる。特に戦闘方面についてだ。


「ヒロト様の通常スキルを教えてもらってもよろしいですか?」


「はい、召喚魔法です。補正で派生というものがあるんですけど」


「召喚魔法ですか。最初のもので戦闘系か支援系かきまるんですけど、最初のものはなんですか?」


「それが、最初のものはジャンルを決めてからになるそうで、そのジャンルをなににしようか迷ってます」


「え!?ジャンルを決めれるんですか!!」


 イロハさんの知っているかぎりでは、召喚魔法の最初のものはもともときまっているらしく、そこも運らしい。つまり、その時点で僕は異質らしい。


「まあ、補正スキルももっていることですし、意外と強い召喚魔法なのかもですね。じゃあまずは、ジャンルを決めましょうか」


「一応、自分の中では武器や機械系か人間系のどちらかにしようかなと思ってます」


 なぜなら、人間ならコミュニケーションにしやすくどこで召喚してもうまくやれそうだからだ。また、武器系なら戦闘方面で活躍してくれると思ったからだ。


「そのふたつなら、人間系のほうがいいと思います。最初にでてくるものは弱いものが基本ですし装備で剣を持っている以上、弱い武器は今はいらないですしね」


 イロハさん的には人間を召喚したあとに武器を召喚して持たせればいいから先に人間を召喚しようということだ。うむ。確かに理にかなっている。そうしよう。


 とりあえず、召喚魔法に集中を置き、ジャンルを人間系と念じてみる。


 すると、カチっと音が鳴り、最初の項目が現れた。


      《召喚魔法》

 ジャンル「人間系」

       村人Lv.1 :戦闘力はなく、基本的にそこらの村の村人とスペックは同じである。


「イロハさん、村人が出ました。でも、戦闘力はないそうです」


「まあ、それに関してはレベルを上げて戦える項目を増やすしかないですね。まあ、ヒロト様なら国造りもできるかもですよ?」


 最後はジョーダンっぽく言っていたが、国造りか!いいかも。別にもう元の世界にもどる気もないし。


「とりあえず、ヒロト様には自分自身がまず強くなり、自分自身を守れるくらいにはなってもらいます。ということで剣術を指南したいと思います」


「どういうことですか?スキルはもう増やせませんよね?」


「はい、ですが、型を覚えることにより、スキルがなくても、剣の扱いだけである程度のモンスターなどと渡り合えることができます」


 なるほど。それなら、召喚したものと一緒に戦って2対1で安全に戦うこともできるじゃないか。


 ということで、僕たちは、村の外に着いた。


「ここからは、適当に近くの森の中を歩きたいと思います。基本的に人を襲ってくるモンスターはゴブリンしか生息していませんので安心してください」


 といっても、この国に来る前にゴブリン見ちゃってるからなぁ。あの怖さは結構忘れることはできないぞ?


 森の中に入っていくと意外と森は綺麗で荒らされている場所も少なく、鳥や動物も住んでいた。


 と、とつぜん、イロハさんが僕にとまれの合図をだしたきた。つまり、奥にゴブリンがいるということだ。覗いてみると、2匹がこちらに向かって歩いている。


「これから1匹を倒すのでよく見といてください。そのあともう1匹をヒロト様に指南しながら倒していただきます」


 そう言って、ゴブリンのほうに歩いていく。僕もあれを倒すのか。今は前のとき見たいに怖くはないが、それでもドキドキして、震えてはいる。


 とりあえず、ちゃんと見て勉強しなくちゃと思い、イロハさんのほうを見る。




-イロハさん視点-


 大丈夫でしょうか?ちゃんと見ていらっしゃるでしょうか?怖がってはいないでしょうか?ちょっと、厳しく言い過ぎたでしょうか?ヒロト様は繊細で優しそうです。このわたしの戦いなどお見せしたら引いてしまうかもしれません。どういう風に倒すべきでしょう?じっくり?瞬殺?いえいえ、それではヒロト様にお見せできない。やはり、ゆっくりかな?




 イロハさんはイロハさんで戦う前から自分と戦っていた.....

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