第2話 ステータスには夢がある

そもそもこの世界ではステータスと呼ばれるものが存在しているらしい。こういうところは小説やゲームみたいだ。


 自分のステータスはただ心の中で念じるだけで思い浮かぶらしい。また補足として自分が心許した相手にならステータスを見せることもできるらしい。


 とにもかくにもだ。とりあえず、僕は自分のステータスを念じてみてみた。


   名前  ヒロト  LV.1

    HP 100   MP 500

スキル欄:補正スキル《派生》


 自分の名前はこちらで指定したとおりになっているようで助かった。そしてこれ以外のステータスはギルドでないと確認出来ないらしい。しかし、このHPとMPの数値は一般的にどうなんだろうか。


 ユグルドにそのことを聞いてみると、HPなどは自分たちと同じだが、MPが格段に多いらしい。


       もしかして、これってギルド行ったら魔法値とかも高くて、有望な魔法使いスキルもらえんじゃないかな?



 そして、もうひとつ疑問になったことを聞いてみる。


「スキル欄にあるこの補正スキルってなんですか?スキルってギルドに行かないとでないんじゃなかったんですか?」


「すいません。さすがにその《補正スキル》というものを、はじめて聞いたので自分にはわかりません。それも、ギルドのほうで聞いてもらうほうがいいでしょう。」


      初めて聞いたって事は結構すごいことなのかな?これは超うれしい。


 とりあえず、神様には礼は言わず、ガッツポーズだけはしておいた。


 そして、スキルのことについてだが、大まかなことしかわからなかった。とりあえず、ギルドでは住民登録というものがされるらしい。どこの国にもギルドは存在していて、登録した国の一員として認識される。そして、その住民登録の際に自分のスキルがわかるらしい。人によってはそれがそのまま職業に直結するものもいるとか。


実際、ユグルドのスキルは《仕切り》というスキルだという。これはスキル《統治》などの一番下の互換であり、それが村長という職に直結したらしい。


 この話を聞いて、心底うれしかった。なぜなら、もしかしたら、スキルによってはこの世界での立ち位置を確保できるかもしれないからだ。


「とりあえず、今日は私の家に泊まっていくといい。明日の朝に、王都スペルラグーンに行く者たちがいるからそれについていくといい。話はつけておいた。」


「本当になにからなにまで至れり尽くせりでありがとうございます。」


「そんなこちらこそ、助けていただいたお礼をしたまでですよ。さあ、行きましょう。」


 ユグルドについていきながら家に向かっていく。その途中に広場を通って行った。すると、たくさんの村人がしゃべっていた。


「あの人が村長を助けてくれた人だ。」

「勇敢だよ。ほんとこの村の勇者様だ。」

「ありがとう。お兄ちゃん!この村を護ってくれて。」


     本当に自分は情けなかったのにこんなにも感謝されるといい気持ちにもなってくる。


     ああ....いいことをすると気持ちいい。これで今日は気持ちよく寝れるかも。


 そうして、歩いていくと、村の奥のほうにほかの家よりもひときわ大きい建物が見えてきた。


「あれが私の家ですわ。」


      村長だからといってこんな屋敷みたいな場所に住めるとは.....役得じゃないか。


 扉を開けて中に入ると


「あら、ユグルド、おかえりなさい」


「ああ、ただいま」


とてもきれいな人がいた。ユグルドも見た目は50ほどで村長にしては若く見えるが、その奥様らしき人は20代といっても過言ではないほど若く見える。


「あら、ユグルド。そちらの方は?」


 村長が紹介するよりも自分で自己紹介しといたほうが、プラスになりそうだ。


「すいません、いきなりお邪魔いたしまして。僕はヒロトといいます。今日は泊まるところもなかったところを村長が......」


村長がといいかけたとき、さすがにユグルドが事の顛末を話しちゃった。


「なるほど。ユグルドはやさしいですからね。わたしも自分たちにはまだ子供がいないので子供ができたみたいでうれしいですわ。」


 そして、僕はユグルドの家で寝ることになった。ご飯はけして、豪華ではなかったし日本にいたころの晩御飯と比べてみると見た目は質素だった。しかし、食べてみるとすっごくおいしかった。


「どうですかな、ヒロト殿?私の嫁はサラサというんですが、サラサの作るご飯はどれも味は一級品なんです。」


「確かにすっごくおいしい。これなら一流の料理店に出してもぜんぜん文句ないですよ!」


「もう!!ヒロトさんもユグルドも!!さすがに、褒めすぎですよ。」


 褒めすぎたかな?とも思ったがそんなことはなかったらしい。サラサさんはとてもご満悦のようで隠そうとしているが、口元が少し緩んでいた。


 そうして、楽しい夜を過ごし、次に日の朝までぐっすりと寝ることができた。

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