第11話
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まず各地のカラオケボックスが潰れて行きました。CDショップはもうずっと前に無くなっていましたし、映画館もレンタルビデオショップも経営不振から閉店、閉鎖に追い込まれました。テレビ局もラジオ局も音楽は夕暮れ時のトゥーーーーーを流すだけです。それ以外はニュースやCMを音楽無しで無味乾燥に訴えます。
そんなはずは無い。
と何度も繰り返し確かめたのですが、どうやら事実らしいです。それはちょうど2017年の時点での学校の卒業式を思い出してもらうと分かりやすいです。静かな式典の最中にあなたは大声で歌えますか?歌えないでしょう。そして卒業式では歌うべき歌も用意されています。その歌が歌声のリレーである、「2081年のジャズ」に相当すると思って下さい。おお、これは我ながらいい例えを思いついたものです。この時代の人々は、音楽を、歌を、無謀で恥ずかしいものと受け止めています。音楽は平和を乱す悪者になってしまったのです。厳かな卒業式の真っ最中に東村山音頭をそれも一丁目を大声で歌ったらまずい事になります。それが世の中全体で拡大解釈されています。
でもなんとなくわかるなあ。その兆候は2017年にもうはっきり見て取れます。
ちょうどいい。関川と保倉川が合流するところに、一組のカップルがいます。男と女が二人っきりでやる事は、今も昔もかわらない。その辺のもう少し深いところを確かめてみましょう。人類はちゃんと考えていたのです。
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