第37話 モブキャラだってデュエルくらいする5
「○代目!ピーソウルブラザーズのYP(ヤ○チンポイント)は7000!貴様の童貞ではどうすることもできんわ!ターンエンド!」
皆さんはこの男が何を言っているか理解できるだろうか?
俺は理解したくない。
「・・・」
初心者の俺でもわかる、遊一は絶体絶命だ。
圧倒的な攻撃力(ヤリ○ンポイント)のピーソウルブラザーズの前では紙くずも同然だ。
遊一もそれを理解しているのか、下をうつむいたままピクリとも動かない。
その顔が絶望しているのか、悲しんでいるのか、こちらからはうかがい知れない。
「フゥン・・・遊一よ・・・潔く降参したらどうだ?」
いい提案だ、今すぐ降参してさっさと俺を家に帰してほしい。
だが、
「フッ・・・」
俺は知っている、
「何を言っているんだ?山馬・・・」
この遊一という男は
「ここから俺の大逆転が始まるんだぜ?」
とても諦めが悪いということを。
「いくぜ!ドロー!」
前を向いた遊一の顔を見てわかった、こいつは一切絶望していない。
むしろ楽しそうに笑っているのだ。
「フフフ・・・アーッハッハッハ!それでこそ我がライバル!叩き潰しがいがある!」
遊一に呼応するように山馬も笑う。
この二人は心の底からこの戦いを楽しんでいるようだ。
「山馬ぁ・・・このカードを見ても同じことが言えるか!?俺はサイエンスナイトリュウノスケを生贄にし、『時を越える魔術師』を召還する!」
『ケイスケ氏、拙者これから家でアニメを消化するゆえ帰るでゴザル』
『乙~』
そんなやり取りをしてフィールドからサイエンスナイトリュウノスケが消えその代わりに、
『タイムマジック~』
どっかで見たことがある気がする時計の形をしたキャラクターが出現した。
いや確実に本家で見たことあるやつだ。
「こいつはフィールド上の時を操ることができる!」
「フゥン!そんなことをしても無駄だ!」
「フ・・・やってみなきゃわかんないゼ!」
そしてキャラクターの時計の針が動き出す。
「こいつの効果で20年の時が過ぎる!」
その言葉の通り、ピーソウルブラザーズのメンバーがどんどん老けていく。
しかし・・・
「遊一よ!無駄だ!ピーソウルブラザーズは20年の時が過ぎ40代になったとしても、いい年してギラついているちょいワル親父になるだけ!YPも3000だ!」
そう時が過ぎても山馬のピーソウルブラザーズは未だに現役、昔の武勇伝を語るだけでもモテモテ、それに比べ・・・
「それに比べて貴様のモンスターはどうだ!未来にも過去にも希望の無いただの生ける屍だ!そんな雑魚が俺のイケイケちょいワル親父に勝てるわけがない!」
山馬の言うとおり、遊一のサイエンスナイトは20年の時が過ぎたことで、髪は無造作に伸び、顔に無精ひげを生やし体型も不健康そうな肥満になっている。
地面に座ったまま動かず、無造作に伸びた髪に隠れて顔が見えない。
だが、遊一は不敵に笑う
「山馬・・・お前童貞が30歳になったら何になるか知っているか・・・?」
「突然何を言うかと思えば・・・そんなもの魔法使いに決まって・・・ッ!」
「そう・・・童貞は30歳を越えると魔法使いになる・・・じゃあさらに10年過ぎるとどうなるかな?」
「まさか!?そんなバカな!40歳童貞なんて都市伝説ではないのか!?」
「見せてやるよ・・・20年の時を越え、童貞を極めた伝説の大魔導司!
チェリー・マジシャン!」
YP 0 DP4000
サイエンスナイトいや、チェリー・マジシャンは地面に座った体制のまま宙に浮く。
その顔はまさしく賢者タイムのときのような無であった。
この世の一切のしがらみから開放されたような神々しさがチェリー・マジシャンにはあった。
「クッ・・・だがそんな人生の負け犬に何ができる!DPがいくら高くても無駄だ!」
「それはどうかな!チェリー・マジシャンの特殊能力発動!」
遊一がそう叫んだ瞬間、フィールド上のピーソウルブラザーズの全員が股間を押さえだした。
「なっ、一体何が!?」
「チェリー・マジシャンの能力によって
お前らのピーソウルブラザーズのチン○を・・・包茎・短小・イ○ポの粗チンにさせてもらった!」
「なっ!なにぃぃぃぃぃ!」
「さらにチンポジがうまいくらいに納まらない呪いもかけさせてもらった!これでお前のピーソウルブラザーズのYPは0だ!」
「だ、だが貴様のモンスターもYPは0!俺のピーソウルブラザーズを倒すことはできない!」
「おっと山馬!俺のターンはまだ終わってないぜ!魔法カード『右手に童貞を左手にチ○コを』発動!」
「最低のネーミングだなオイ!」
もはや意味がわからない。
「このカードによってチェリー・マジシャンのYP(ヤリ○ンポイント)とDP(童貞ポイント)を入れ替える!」
「何だとッ!」
「そう・・・このとき、この瞬間だけチェリー・マジシャンはピーソウルブラザーズを越えるヤリ○ンとなる!」
その言葉のとおり宙に浮いたチェリー・マジシャンの股間がズボン越しにでもわかるほど大きくなっていく!
「これで終わりだ!チェリー・マジック!」
遊一の声と共にチェリー・マジシャンの股間にピンク色の光が集まっていく!
そして・・・
『あぁぁぁぁぁ・・・・』
チェリー・マジシャンの情けない声と共に発射された光がピーソウルブラザーズを消し去った。
さらに光は止まらずに突き進み、山馬を包み込む!
「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
山馬の声が響き渡る。
ゲームの勝敗を決める山馬のライフポイントが0となったのだ。
つまりこの勝負
「俺の勝ちだぜ!」ドン☆
遊一の勝利だ。
遊一が倒れこむ山馬へと近づき、手を差し伸べる。
「いいデュエルだったぜ」
しかし山馬はその手を払いのける。
「貴様の手など借りん!いいか次の勝負は俺のヤリ○ンが勝つ!」
「いいぜ!いつでも俺の童貞モンスターが受けて立つ!」
二人の間にあるのは友情ではないのだろう。
だが、確かな繋がりがそこにはあった。
そして、そんな二人の決着を見た俺は思わず口にした。
「なぁにこれぇ~?」
後日、このカードゲームは発売禁止になったらしい。
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