第38話 戦隊ヒーローだって修行くらいする

「俺たちもいよいよ修行が必要な次期だと思うんだ!」

「へぇ・・・そうですか・・・」

俺はジャスティスレッドからの言葉を気だるげに流す。


そりゃあ日曜の昼、突然現れた怪しい黒塗りの高級車から出てきた5人組(戦隊ヒーロー)に、いつもの作戦司令室連れ去れたらこんな対応にもなる。

どうやら前回と同じようにどうやら悩みがあって俺を呼び出したらしい。

たかがモブキャラの俺に何を相談するのかと思ったら・・・


「何でまた急に修行なんて・・・」

「チッ・・・それがな・・・最近自分の限界を感じちまう・・・」

「日々自分の無力さに打ちひしがれます・・・」

ブルーとグリーンが深刻そうに言う。

「最近カレーが不味く感じちまう・・・」

「私も・・・このままじゃダメだなって・・・」

出所したイエローとピンクもうつむきながら悩みを口にする。

仮にもヒーローであるこいつらがこんな自信を無くすなんて何があったんだろうか。


「一体何があったんです?」

「ああ俺たちはそれぞれ戦いの中で自分の弱さと向き合ったんだ・・・」

「自分の弱さ・・・?」

それはつまり悪の組織の連中に勝てなかったとかそういうことなのだろうか。

以外にもヒーローらしいちゃんとした悩みで少しびっくりした。

「ああ・・・まず俺の話をしよう・・・」

レッドは何かを悔やむように話し出す。

「最近の戦いでな・・・クギャーク四天王の1人、レディ・ダークと戦闘をしていたんだ。あいつ新装備のサディスティックウィップという、岩をも砕くエネルギーを相手にぶち込めるムチを持ってきたんだ・・・」

なるほど・・・話が見えてきたぞ・・・

「そうか・・・その新しい武器にやられて・・・」

パワーアップした敵の新装備に歯が立たなかったからパワーアップしたいってことか。

まさしく王道のパワーアップパターンだ。

「ああ・・・レディ・ダークの激しい攻撃からみんなを守るため、俺の体で全ての攻撃を受け止めていたんだがな・・・攻撃が強力すぎて・・・



戦闘中にイッちまったんだ・・・」



「・・・ん?」

あれ?気のせいか?何か今不適切な表現があったような・・・?

「イッちまった・・・?・・・ああ!逝っちまったって死にかけて意識が飛んだってことですね!」

そうだ、言葉のニュアンスの違いだよな、うん、そうだって、そうに違いない!


「いや、飛んだのは精子だ」

「あんたもうヒーロー辞めろよ!!!!」


戦闘に自分の性癖を持ち出すのはヒーローとしてどうなのだろうか。

というかもう人としても大分ダメだと思う。

「仕方ないだろ!今までに受けたことのない激しい攻撃、エロい女幹部、エロイ格好にムチだぞ!誰だってイッちまうだろ!」

「いや岩砕くような攻撃受けたら普通逝っちまいますよ!?」

「フン・・・なるほど・・・だから戦いの途中で賢者みたいにスッキリした顔だったんだな」

「戦闘中に賢者タイム入らないでください!」

「そういえばレッドさん、戦闘終わった後アジトの洗面所で必死に戦闘スーツ洗ってましたね。あの時は『あ、いや、これは違くて、その、あ!ジュースこぼした!』って言ってましたけど」

「夢精した中学生か」

「いやーあの時は焦ってついウソをついてしまった、正義のヒーローとして恥ずかしい」

「いやウソついたことじゃなくて戦闘中にイッたことを恥ずかしがってくださいよ」

そうだった、こいつらはヒーローである前に1人の変態だったんだ。

こんな変態どもがまともな悩みを持つわけが無い。


「フン・・・次は俺の番か・・・」

あ、これは一人ずつ悩みを聞いてくパターンか・・・

「ついこの間のことだ・・・俺は日課だった深夜の全裸徘徊をしていたんだが・・・」

「まずスタートがおかしい!」

「最近ただ全裸で近所を歩くだけでは刺激が足りなくてな・・・」

「誰か頼む・・・頼むから世の中のためにこの変態を捕まえてくれ・・・」

「この前のレディ・ダークとの一戦、みんなの目を盗んで一瞬だけ全裸になったんだ」

「あんたら世界を救う戦いでプレイすんのやめてくれませんか」

「そしたら裸になった瞬間をレディ・ダークに見られてな・・・・



戦闘中にイッちまったゼ・・・」



「お前もかイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


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