第29話 戦隊ヒーローだって愛車にこだわりはある3

前回の相談から2週間後、俺は同じ採石場に呼び出されていた。

『ちゃんとグリーンを含めた新しいロボットが完成したから見てくれ!』

ということらしいが、一体どんなロボットになったのだろうか。

不安8割、期待2割でこんな町外れの採石場まできたのだが・・・

「誰もいない?」

ジャスティスファイブのメンバーが誰もいないのだ。

この前は採石場に着いた時点で全員いたのだが・・・

日にちでも間違えたのだろうか、そう思って携帯を確認したその時だった。


『ハッハッハ!待たせたね!』


拡声器を使用した大きな声が鳴り響く。

この声は間違いなくレッドのものだ。

「一体どこにいるんですか!?」

向こうが聞いているのかわからないが、精一杯大きな声で呼びかける。

一瞬あたりが静かになったが、数秒の待つと返事が返ってきた。

『いまから車に乗ってそちらへ行って、そのまま合体シーンを見せようかと思ってね!そのまま待っていてくれ!行くぞ!』

なるほど、これなら登場シーンと合体シーンを同時に確認できるというわけだ。

そんなことを考えていると前回と同じ山の向こうから5台の車が走ってきた。

消防車、スポーツカー、CoCo○のトラック、黒塗りの高級車、マジック○ラー号、外から見れば何の統一性もない謎の集団だ。

どうやら車の見た目自体は変わっていないらしい。

5台の車が山を降りきったそのとき

『合体!ジャスティスロボ!』

レッドの掛け声が採石場に響き渡ると同時に、前回と同じように5台の車が変形を始める。

ピンクとイエローの車は足の形に、ブルーの車は両腕に、レッドの車は上半身の形に前回と同じように変形していく。

一方前回何の変化もなかったグリーンの車も今回は変形している。

しかし・・・

「一体どの部分なんだ?」

グリーンの車は棒状の何かに変形していた。


だが体のどの部分なのかは全く分からない。

他の4台は以前と同じように合体を進めている。

これでは再びグリーンが余るのでは?

そう思ったときだった。

ロボットの右手が棒状に変形したグリーンの車を掴んだのだ。

それを見て俺はようやくグリーンの役割がわかった。

「あーなるほど、ロボットに組み込むんじゃなくてグリーンの車を武器として使うのか」

そう、ロボットに組み込まれるのではなく、武器としてロボットの一部となったのだ。

これならば今まで外されていたグリーンもロボットの一部として扱える。

そして全ての合体が終了したとき


『完成!ジャスティスロボ!』

完成の掛け声が聞こえてきた。

『どうだ!これなら子供人気もバッチリだろ!』

『フッ・・・まさに完璧なロボだ』

『ああっ!カレーがこぼれてる!もったいない!』

ロボの中でメンバーが騒いでいるのが外からでもわかる。

そういえばイエローの声が聞こえている、どうやら出所できたようだ。



なるほど、よく考えられていると感心した・・・のだが・・・

「ん?」

よくよく見るとグリーンの形状が何か・・・おかしい・・・

さきほどまではぼんやりと棒状ということしかわからなかったが、変形が進んだ今見るとあれは・・・


明らかに男性器の形をしていた。


「あのー!すいません!」

『ん?どうかしたの?』

「その右手に掴んでいるものは何ですか!?」

俺はロボに乗っている5人に聞こえるように大声で叫んだ。

この疑問にピンクはゆったりとした口調で答えてくれた。

『ああこれ?これはね・・・私がデザインした



”ブラック・ペ○スソード”よ!』


「やっぱりアンタの仕業か!」

こんなもので倒される怪人がかわいそうに思えてくる。

改めて見ても変わらない、やはりあれはどう見ても黒光りしたチ○コだ。

「どう考えてもわいせつ物にか見えないんですけど!」

『失礼ね!グリーンのチ○コを元に私が形を再現した、ロボットのエネルギーを効率よく攻撃力に変換できるように設計した究極の正義の剣なの!』

「そんな形をした正義に救われたくないんですけど!」

『ふふふ・・・見た目で判断しちゃだめよ☆このブラック・ペ○スソード、略して黒ペニはね、なんと内部のエネルギーを使って、振動させることができるのよ!』


「もうそれただのでっかいバイブじゃないですか!?」

ロボットの右手が掴んでいる黒ペニが激しく振動しているのが遠目からでもわかる。

しかしこんな機能が戦いのどこで役立つのだろうか。

こんな規格外のわいせつ物を作り出してしまう技術力と情熱が恐ろしい。

というか作ってる時点で何かおかしいことに気がつかないのだろうか。

さらにピンクが要らない情報を付け足してくる。

「振動するだけじゃないわよ、他にも光ったり回ったりもできるのよ!すごくない!?」

「アンタの頭の卑猥さがすごいよ!」

いらないオプション機能が追加されている。

今回はいくらか手のかからない、まともな相談だと思っていたのだが、そんなことはないようだ。

まさか合体ロボを作成はずがとんだわいせつ物を作ってしまったようだ。

しかしまだこの暴走を止める手立てはある。

「グリーンさん!正直になりましょう!あなたもこんなの嫌ですよね!?」

当の本人に否定してもらおう、気の小さいグリーンといえど流石にここまでされれば怒るはず。

そう期待して声をかけたのだが。

『・・・』

「あれ?」

返事がない、そう思ったまさにそのとき


『オロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!』


ロボット内から吐瀉物を吐き出す音が聞こえてきた。

「グリーンさん!?」

ロボットの中で一体何が起こっているのだろうか。

答えはすぐに出た。


『あー、グリーンはあの黒ペニに直接乗り込んでいるから回転と振動で酔っちゃったのね・・・どんまい☆』


「グリーンさんが何したっていうんだ!」


ジャスティスファイブの雇用環境改善を願ったその時だった。



グオオオオオオオオオオオオオオ!!


何か生物の大きな鳴き声がそこら中に木霊した。

さらに間をおかずに機械のアラームが鳴り響く。

『キンキュジタイ!キンキュウジタイ!トツジョアラワレタキョダイセイブツガコチラニムカッテキマス!』


『なにいいいいいいいいいいいい!』


どうやら俺はとんでもない事態に巻き込まれたようだ。

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